法律相談Q&A

高温手当の支給について留意すべき点

Q.当社は、青島にある日系企業です。最近青島地区でも暑さが厳しく、多くの従業員から会社へ高温手当を支給するよう要求が出されています。しかし当社では既に事務所内にエアコンを設置し、生産現場でも扇風機等を設置しています。当社は従業員に高温手当を支給すべきなのでしょうか。また支給する場合には、どのように支給すべきでしょうか。

A.最近多くの企業から質問を受けております。2015年7月29日、山東省人力資源社会保障庁、財政庁等の五機関は、連名で『企業従業員防暑降温費基準の調整に関する通知』(以下「通知」という。)を公布し、2015年8月1日より山東省の防暑降温費(以下「高温手当」という。)の基準を引き上げました。これは、2006年に山東省で高温手当政策が施行されて以降初めての調整となります。

従業員への高温手当の支給の際には、次の点にご留意ください。

1.支給月

毎年、6月、7月、8月、9月の4ヶ月に対してのみ支給します。

2.高温手当を支給する従業員の範囲

『防暑降温措置管理弁法』及び山東省の上記「通知」によれば、会社が防暑降温措置を講じたかどうかに関わらず、均しく全従業員に高温手当を支給する必要があります。

3.高温手当の基準

関連規定に基づけば、高温手当の支給対象は、主に次の2種類に分かれます。

①屋外作業及び高温作業に従事する者

②非高温作業に従事する者(事務所の従業員)

上記「通知」の公布により、2015年の高温手当は、支給月により支給額が異なります。

(1)屋外作業及び高温作業に従事する者への6月、7月の高温手当は、1人あたり月120元の基準で支給します。8月、9月は、1人あたり月200元の基準で支給します。

(2)非高温作業に従事する者への6月、7月の高温手当は、1人あたり月80元の基準で支給します。8月、9月は、1人あたり月140元の基準で支給します。

4.その他

(1)正常に出勤しなかった従業員に対して、会社は実際に出勤した日数で高温手当を換算し、支給することができます。

(2)会社は、高温の天候又は屋外露天作業の従業員に対し充分かつ衛生基準に適合した清涼飲料水及び塩分を含む飲料水を提供する必要があります。なお且つ清涼飲料水を提供したことで、高温手当と相殺してはならないとされています。

(3)『山東省高温天気労働保護弁法』等の規定によれば、会社が規定に基づいて高温手当を支給しなかった場合、関係機関から改善を命令され、制裁金を科される可能性があります。また従業員からも労働機関に投書や通報を行うことができるとされています。

作成日:2015年08月20日