法律相談Q&A

労務派遣を直接雇用に転換する際に注意すべきポイント

当社は、青島にある日系企業です。日本人駐在員以外は全て現地の派遣労働者を使用しています。昨年から派遣労働者を直接雇用に転換する企業が増え始めたので、当社でも規定に従い転換を検討しています。労務派遣から直接雇用に転換する際の注意事項の説明願います。

A.2014年3月1日から施行された『労務派遣暫定施行規定』によると、派遣労働者の数が厳しく制限され、使用する人数は全労働者の10%を超えてはならないと規定されました。本規定が施行される前に派遣労働者の数が10%を超えていた企業は雇用プランを修正をする必要があり、本規定が施行されてから2年以内(2016年3月1日まで)に規定の割合まで下げる必要があります。

労務派遣を直接雇用に転換する場合、現在の労務派遣関係を終了させ、直接労働契約を新たに結ぶ必要があります。実務上、労務派遣から直接雇用に転換する場合、以下の点に注意する必要があります。

(1)事前に完全な転換プランを作成する

会社の生産経営状況、労働者の要求等、具体的な状況によって法律の規定に基づき、

事前に合法的な転換プランを作成します。

うち、非常に重要なのは、転換の際に労働者に対して経済補償金を支給するか、それとも勤続年数を連続して計算するかという点です。次の2通りの方法があります。

①労働者の現在までの勤務年数に従って経済補償金を計算して支払う。

②経済補償金を支払わないが、労働者のこれまでの勤務年数を連続して計算する。

(2)労務派遣会社と充分に協議する

労務派遣関係では、労務派遣会社と使用者、労働者は何れも直接の法的関係を有しています。直接雇用への円滑な転換を実現するには、事前に労務派遣会社と充分に協議し、労務派遣会社の理解と支持を得ることが必要です。具体的には、転換時に経済補償金を支払うのかどうか、労務派遣契約期間中の賃金、社会保険料、管理費などの支払状況等について確認する必要があります。

(3)労働者に会社の決定を告知する

転換時に労働者が様々な要求をして混乱が発生することを防止し、転換を円滑に進めるために次のことをお勧めいたします。

①事前に労働者の使用状況や潜在的な労務上のリスクを調査し、了解を得ます。調査の状況に応じて事前に労働者が集団的な事件を起した場合のリスクに対して対応策を作成します。

②労働者に会社の決定を告知する際、今回の直接雇用への転換は法律に従って実施されていることを強調します。

③混乱の発生の防止のため、できるだけ今回の転換によって今までの待遇を維持するようにします。

(4)直接雇用での人事業務の手配

直接雇用においては、これまで労務派遣会社が責任を負っていた労働契約の締結、社会保険や住宅積立金口座の開設及び社会保険料及び住宅積立金の納付、個人情報ファイル等の移動手続、労働災害申請手続等の人事業務も使用者に移行させる必要があります。このため、人事業務の仕事量も増え、担当者を増員する等対策をとる必要があります。実務上では、人事業務を人事代理資格持つ第三者会社にアウトソーシングさせている会社もあります。総合的に人員配置、コスト、効率性等を判断する必要があります。

作成日:2015年07月20日