6月1日から新たに施行された法律・法規
中国のニュースサイトである人民ネットによると、同国が一部の衣類、靴、スキンケア製品、紙おむつ等の日用雑貨の輸入関税率を引き下げる際の平均引下げ幅は50%を超えたとの事である。またシンガポール移民登録局が中国人に発給するマルチビザの有効期間は最長で10年となった。国務院の同意を受け、大部分の医薬品に対する政府主導の価格の決定を取り止め、医薬品調達システムを整備した。北京市全域の公共スペース、室内のワークスペース及び公共交通機関での喫煙が全面的に禁止された。これらの法律法規は、2015年6月1日から施行された。
■国レベル
1.一部の日用雑貨の輸入関税を50%引き下げ
2015年4月28日の国務院常務会議の決定によると、消費財の輸出入政策を整備し、国内消費者による購買の選択肢を増やすため、国内消費者の需要が高い一部の日用雑貨の輸入関税を引き下げる試みが行われる。その一環として、国務院関税税則委員会は、2015年6月1日から一部の衣類、靴、スキンケア製品、紙おむつ等の日用雑貨の輸入関税税率を平均50%以上引き下げる措置について検討し、国務院より許可を得た。
2.シンガポールへのマルチビザの有効期間が10年に
シンガポール移民登録局は近日、中国人に発給するビザの内容を変更すると公表した。その一部として、2015年6月1日から、シンガポール移民登録局が中国人に発給するマルチビザの有効期間は最長で10年となり、中国の旅客のシンガポール旅行がより便利になる事となった。申請者が同ビザを取得した場合には、その配偶者及び21歳未満の子女も同様のビザを取得する事になる。
3.大部分の医薬品について政府主導の価格の決定を取り止め
先日、国務院の同意を経て、発展及び改革委員会は国家衛生及び計画生育委員会、人力資源及び社会保障部等の機関と合同で共に近日、『通知』を公布し、2015年6月1日から大部分の医薬品につき政府による価格決定を取り止め、医薬品調達メカニズムを整備し、医療保険価格統制の役割を発揮し、医薬品の実際の取引価格を市場競争に委ねることを決定した。
『通知』は、科学的かつ合理的に医薬品価格の形成システムを確立し、市場による資源配置という決定的役割を充分に発揮させ、なお且つ政府の役割を充分に発揮し、事中事後の監督管理を強化する点を強調した。医薬品の政府主導の価格の決定を取り止めた後、医薬品調達、医療保険の支払い等の改革政策との関連付けを適切に行い、医薬品の費用及び価格にかかわる行為への監督管理を強化する。
4.決済市場を開放
『銀行カード決済機関の参入管理の実施に関する国務院の決定』(以下『決定』という。)が正式に公布され、2015年6月1日から中国国内において銀行カード決済業務に従事し、要求に適合する国内外の金融機関は全て「銀行カード決済業務許可証」を申請することができるようになる。その意味するところは、中国銀聯による銀行カード決済市場の独占状態が完全に打破されるということである。
2002年に設立された中国銀聯は、目下中国で唯一の銀行カード支払・決済機関である。このような銀行カード市場の独占は、ビザ、マスター、アメリカンエクスプレス等の外資の銀行カード組織を締め出しているだけでなく、中国銀聯による決済管理のイノベーションを抑制し、人民幣の国際ビジネスにおける決済機能を弱め、消費者に不便であった。
5.子供服、新基準による安全性の向上
乳幼児、子供向け繊維製品(子供服)に対する中国初の強制的国家基準が正式に施行される。国家標準委員会は26日、強制的国家基準である『乳幼児及び子供繊維製品安全技術規範』(GB31701—2015)の公布を承認した。これは、中国初の乳幼児、子供向け繊維製品(子供服)に対する強制的な家基準であり、基準は2016年6月1日に正式に施行される。
同基準は、月齢36ヶ月以下の乳幼児が着用する乳幼児向け繊維製品と3歳以上、14歳以下の子供が着用する子供向け繊維製品に分けて定めている。
■地方自治体レベル
1.北京で最も厳しい禁煙措置を実施 公共の場が全面的に禁煙に
「史上最も厳格」な禁止令は、どうすれば空文化を免れるのか。
北京では2015年6月1日より、史上最も厳しい禁煙令が実施され、全ての公共の場が全面的に禁煙となった。北京市ではオフィスビルやレストランを含む全ての室内の公共の場、職場、公共交通機関での喫煙が禁止され、また屋外であっても、行列に並んでいる際は喫煙が禁止されることとなった。また全てのタバコ販売促進活動は、その停止が徹底されることとなった。
規定によると、喫煙禁止の場所で違反して喫煙した場合、個人では最高で200元(約4,000円)、会社などでは最高で10,000元(約20万円)の過料が科せられるとのことである。
2.北京、電気自動車に対する通行規制を解除
北京市交通管理局は、2015年6月1日から来年の4月10日までの期間に、北京市がナンバープレートを発給した電気自動車については、平日の通勤ラッシュ時間帯における規制の対象外とされることとなった。
この優遇が適用されるのは、電気モーターを唯一の動力とする自動車と電気モーターで駆動するマイクロバスのみとなる。
3.三亜市、地方立法権を正式に実施
2015年3月、第12期全人代第3回会議で、『中華人民共和国立法法』の改正が決議のうえ可決し、これにより全ての区を設け都市に地方立法権が付与された。
三亜市に正式に地方立法権が付与されたことにより、当市は2015年6月1日より、地方法規の制定が可能となった。三亜市は、『立法法』の改正が公布・施行されたことにより、全国最初の立法権を行使できる地方都市となった。
4. 『四川省 農村の貧困扶助開発条例』の実施項目が公開
『四川省農村貧困扶助開発条例』が2015年6月1日正式に施行され、四川省人代常務委員会は本日、プレス向け発表会を開催し、この条例の背景と条例の内容を説明した。
省政府副秘書長の趙学謙はその場で、『条例』の発布・実施は、四川省地方政府業務の成果であり、貧困脱却扶助開発における地方立法の空白を埋めるものであり、扶助開発と法治化のためのターニングポイントとして、重要な意義を持つと述べた。
この条例は、対応性、実用性、操作性が強い地方法規であり、『条例』は四川省の更なる貧困脱却業務に法律の根拠を提供するものである。
5.山東省「保険金詐取」行為を市民が通報すれば賞金支給
山東省人社庁は『山東省社会保険基金監督通報奨励暫定施行弁法』を印刷・配布した。特に「保険金詐取」行為の通報を奨励し、通報者に対する賞金額は、調査によって真実であることが証明されれば違法額の1%に基づいて支給され、最多でも5,000元を超えないとされた。通報事案が重大であり、且つ一回に回収された社会保険基金が50万元を超える場合は、回収された基金の1%分賞金が増額され、最多でも10,000元を超えないとされた。この『弁法』は2015年6月1日から施行され、その有効期間は2017年5月31日までとされた。
6.湖北省、観光客への押し売り行為に最高2万元の罰金
改正『湖北省旅行観光条例』が省人代常務委員会で可決された。旧条例と比較すると、消費者に強制、又は消費者を脅迫して商品を購買させる行為の禁止に関して、最高2万元を処分の限度とする制裁金制度が設けられた。規定ではさらに、既に譲渡された国有観光資源について、もし長期間放置されているようであれば、政府は経営権を回収できることとした。新規定は2015年6月1日から施行された。
『条例』では、旅行者は経営者の資質、旅行関連製品及びサービス、並びに価格について知る権利を有し、且つ自主的に旅行製品、観光業経営者、旅行サービス方式及びサービス項目を選択し、強制的又は実質上強制的な販売又はサービスを拒否する権利を持つと規定している。もし観光業経営者が強制、つきまとい、詐欺又は強迫によって旅行者に商品を購買させ、サービスを受けさせた場合、観光業主管当局又は工商当局は2,000元以上1万元以下の制裁金を科すことができる。情状が重大な場合は、5,000元以上2万元以下の制裁金を科すことができる。旅行代理店及びガイドに上述行為があった場合も処分される。
7.浙江省、資源環境保護を会計検査事項に組み入れ
社会が注目する資源環境保護及び汚染防止につき、『浙江省会計検査条例』では、今年6月1日から明確に資源環境保護を会計検査項目に組み入れることとした。
『条例』では、会計検査機関が土地、鉱物資源、水資源、森林、山脈、草原、荒地、岸辺、海域及び特許経営権、特許汚染物質排出権など国有資源の管理使用状況、並びに大気、水、土壌、固体廃棄物など汚染防止及び環境保護の状況について会計検査を行うと規定している。
8.甘粛省、危機に瀕する伝統的非物質文化遺産を立法保護
非物質文化遺産の保護経費に財政予算を計上し、代表的継承者の認定には自薦が可能とし、歪曲、毀損、濫用と過度の開発を厳禁する、甘粛省で初めての非物質文化遺産の継承及び保護に関する地方性法規――『甘粛省非物質文化遺産条例』が、6月1日から施行された。
『条例』では、非物質文化遺産代表的項目の代表的継承者は伝承活動を行い、後継者を育成しなければならず、政府機関は弟子の教育、技術の伝授などの活動経費として継承者のために必要な資金援助を提供しなければならない。代表的継承者が正当な理由なく技術の伝授を行わない場合は、文化機関はその継承者資格を取り消し、当該項目の代表的継承者を新たに認定することができる。
(人民ネットより)
作成日:2015年06月09日