最新法律動向

2015年3月公布の重点法規解説


『中華人民共和国立法法』の改正に関する全国人民代表大会の決定

■  中華人民共和国政府調達法実施条例

■ 外商投資産業指導目録(2015年改正)

■  食品リコール管理弁法

 

一、『中華人民共和国立法法』の改正に関する全国人民代表大会の決定

2015年3月15日公布  2015年3月15日施行

http://www.gov.cn/zhengce/2015-03/18/content_2834713.htm

1、主な内容

(1)立法が実情に基づき、社会の経済発展及び改革の全面的深化にかかる要求に適応し、公民、法人その他組織の権利義務並びに国家機関の権力及び責任を科学的かつ合理的に規定しなければならないことを明確にする。法律規範は、明確かつ具体的であり、対象性及び実行可能性を備えなければならない。(第3条)

(2)税目の設定、税率の確定及び税収徴収管理等の税収基本制度が必ず法律により規定されなければならず、国務院等の部門は税目等を設定する権利がないことを明確にする。(第4条)

(3)全国人民代表大会及びその常務委員会が改革発展の必要に基づき、行政管理等の分野における特定事項につき、一定期間内において一部の地方に授権して暫定的に調整させ、又は法律の一部規定の適用を暫定的に停止することを決定することができることを明確に規定する。(第6条)

(4)常務委員会が法案を審議する際には、関係する全国人民代表大会の代表を招いて会議に列席させなければならない。(第8条)

(5)法案に関係する問題の専門性が比較的高く、実行可能性評価をする必要がある場合には、論証会を招集・開催し、関係する現場管理者及びグループの代表、部門、全国人民代表大会代表等の方面から意見を聴取しなければならない。法案に関係する問題に重大な意見の違いがあり、又は利害関係の重大な調整にかかわる場合には、聴取をする必要があり、聴取会を招集・開催し、関係する現場管理者及びグループの代表、部門、人民団体、専門家及び全国人民代表大会の代表並びに社会の関係する方面による意見を聴取しなければならない。(第11条)

(6)常務委員会の議題に組み入れる法案については、常務委員会会議後に法律草案並びにその起草及び修正に係る説明等を社会に公布し、意見を募集しなければならないが、委員長会議により公布しない旨を決定する場合を除く。社会に向けて意見を募集する期間は、一般的に30日を下回らない。意見募集の状況は、これを社会に通知しなければならない。(第12条)

(7)全国人民代表大会常務委員会は、立法規画、年度立法計画等の方法により、広く意見を募集し、科学的に論証・評価し、立法業務に係る統一的手配を強化する。立法規画及び年度立法計画は、委員長会議がこれを採択し、かつ、社会に公布する。(第18条)

(8)全国人民代表大会に関係する専門委員会及び常務委員会業務機関は事前に関係する方面における法律草案に係る起草業務に参加しなければならず、専門性が比較的高い法律草案については関連する分野における専門家による起草業務への参加を得て、又は関係する専門家、教学・科学研究単位及び社会組織に委託して起草させることができる。(第19条)

(9)部門規則が規定する事項は、法律又は国務院の行政法規、決定及び命令の執行に係る事項に属さなければならない。法律又は国務院の行政法規、決定及び命令による依拠がない場合には、部門規則は、公民、法人その他組織の権利を減じ、又はその義務を重くする規範を設けてはならず、当該部門に係る権力を強め、又は当該部門に係る法定の職責を減じてはならない。(第35条)

2、今後の注意点

最高人民法院及び最高人民検察院が作成する裁判及び検察業務における具体的法律の適用に係る解釈に属するものについて、主に具体的法文を対象とし、かつ、立法目的、原則及び本来の目的に適合しなければならない。最高人民法院及び最高人民検察院以外の裁判機関及び検察機関は、法律の適用に係る具体的解釈を作成してはならない。

(全46条)

 

二、中華人民共和国政府調達法実施条例

2015年1月30日公布  2015年3月1日施行

http://www.gov.cn/zhengce/content/2015-02/27/content_9504.htm

1、主な内容

(1)政府調達法第2条における「財政上の資金」とは、予算管理に組み入れる資金をいう。財政上の資金を返金源泉とする貸借資金も、財政上の資金とみなす。国家機関、事業者及び団体組織による調達が財政上の資金を使用し、非財政上の資金を使用する場合には、財政上の資金を使用して調達する部分に政府調達法及びこの条例を適用する。財政上の資金と非財政上の資金を分割するすべがない調達については、統一して政府調達法及びこの条例を適用する。

(第2条)

(2)政府調達法第2条における「サービス」には、政府が必要とするサービス及び政府が一般大衆に提供する公共サービスを含む。(第2条)

(3)政府調達項目情報は、省級以上の人民政府の財政機関が指定するメディアに公布しなければならない。調達項目予算額が国務院の財政機関が規定する基準に達する場合には、政府調達項目情報を国務院の財政機関が指定するメディアに公示しなければならない。(第8条)

(4)国は、統一した政府調達電子取引ウェブサイトの建設基準を実行し、情報ネットワークを利用する等の電子的に政府調達活動を推し進める。(第10条)

(5)政府調達活動に参加するサプライヤーは政府調達法第22条第1項所定の条件を備え、次に掲げる資料を提供しなければならない。財務状況報告、法による税金及び社会保障資金を納付する関連資料。契約の履行に必要な設備及び専門業務技術能力の具備にかかる証明資料。政府調達活動に参加する前3年内に経営活動において重大な違法記録がないことにかかる書面による声明等。(第17条)

(6)政府調達法第22条第1項第5号における「重大違法記録」とは、サプライヤーが違法経営により刑事処罰、又は生産停止・営業停止、許可証若しくはライセンスの取消し、若しくは比較的高い金額の罰金等の行政処罰を科されることをいう。サプライヤーが政府調達活動に参加する前3年内に違法経営により一定期間内の政府調達活動への参加を禁止され、期間が満了した場合には、政府調達活動に参加することができる。(第19条)

(7)公開入札募集金額標準に達し、政府調達法第31条第1項所定の事由に適合し、一つのサプライヤーのみから調達することができる場合には、調達者は調達項目情報及び唯一のサプライヤーの名称を省級以上の人民政府財政機関が指定するメディアに公示しなければならず、公示期間は5業務日を下回ってはならない。(第38条)

(8)国務院財政機関は、国務院の関係機関と共同で政府調達契約基準文書を作成しなければならない。(第47条)

(9)調達代理機関は、調達者による調達要求に不合理な条件があり、サプライヤーに差別的待遇、不公平な待遇、又は調達者にその他の違法行為があることを発見した場合には、その者が是正をするよう建議しなければならない。

調達者が拒否して是正しない場合には、調達代理機関は、調達者にかかる級の人民政府の財政機関に報告しなければならず、財政機関はこれを法により処理をしなければならない。(第61条)

(10)サプライヤーが事実を捏造し、虚偽資料を提出し、又は違法手段により証明資料を取得して苦情を申し立てる場合には、財政機関が不良行為記録リストに組み入れ、その者による1から3年内における政府調達活動への参加を禁ずる。(第73条)

2、今後の注意点

本条例は主に『政府調達法』の関連する条項の精緻化であり、『政府調達法』の操作可能性を強めている。関係する企業には、重視されたい。(全79条)

 

三、 外商投資産業指導目録(2015年改正)

2015年3月10日公布  2015年4月10日施行

http://www.mofcom.gov.cn/article/b/f/201503/20150300911747.shtml

1、主な内容

(1)積極的かつ主体的に開放を拡大する。一次、二次及び三次産業の開放をより一層推し進め、サービス業及び一般製造業の開放を重点的に拡大し、中国(上海)自由貿易試験区に係る試行経験を生かし、押し広める。

(2)外資管理方式を転換する。資源配置における市場の決定的作用を充分に発揮し、省エネ、環境保護、技術及び安全等の措置により内資及び外資の一元的監督・管理を実現できる項目については、制限類に組み入れない。

(3)経済構造を調整し、優良化する。外国人投資家による現代的農業、ハイテク、先進的製造、省エネ環境保護、新エネルギー及び現代的サービス業等の分野への投資を奨励し、ハイテク産業の移転を受け入れる。外国人投資家による研究・開発の段階への投資を奨励する。

(4)透明性をより一層強化する。ネガティブリスト管理モデル要求に従い、許可類プロジェクトについて、原則上外資持分比率制限を継続せず、外資持分比率に係る規定のすべてにつき『目録』に列挙する。

(5)制限類項目を大幅に減少し、2011年版『目録』における79項目から38項目に減少する。

(6)外資持分比率制限を緩和し、「合資、合作」項目を2011年版『目録』の43項目から15項目に減少し、「中方による持分支配」項目を2011年版『目録』の44条から35条に減少する。

(7) 奨励類については、76項目を修正し、主に鉄鋼、エチレン、製油、造紙、クレーン、船舶船室機械、送電・変電設備、石炭化学工業設備、小型ヘリコプター、自動車電子集積システム及び一流の白酒等の持分比率要求を取り消し、非鉄金属の精錬、小型工事用機械、スリープ軸受け、感光材料及びクロロマイセチン等を制限類に組み入れず、基本的に一般的製造業を開放する。サービス業分野においては、主に電子ビジネス、チェーン経営、支线铁路、地下鉄、モノレール、海上運送及び上演場所等に係る持分比率要求を取り消し、及び緩和し、ダイレクトマーケティング、通信販売、輸出入商品検査認証、鉄道貨物運送、保険中立会社、財務会社、信託会社及び貨幣仲立会社等を制限類に組み入れず、かつ、建築設計及び老人ホームを奨励類に組み入れる。

 

四、食品リコール管理弁法

2015年3月11日公布  2015年9月1日施行

http://www.sda.gov.cn/WS01/CL0053/115580.html

1、主な内容

 (1)企業に係る主体的責任の確実化を強化する。まず、主体的義務を明確にする。食品生産経営者は、食の安全に係る第一責任者としての義務を負い、法により安全でない食品の生産経営を停止し、リコールし、及び処分する責任を履行しなければならない。(第3条)
(2)食の安全に係るリスク防止・コントロールを強化する。生産経営過程において安全でない食品を発見する場合には、食品生産経営者はただちに生産経営を停止しなければならない。製品がすでに市場に参入している場合には、食品生産経営者は、安全でない食品を厳格に期限に従いリコールし、関連する食品生産経営者が生産経営を停止し、消費者が飲食を停止するよう告知し、かつ、必要な措置を講じて食の安全に係るリスクを防止・コントロールしなければならない。(第8条)
(3)食品集中取引市場の開設者、食品経営カウンターの賃貸者、食品展示会の主催者及びインターネット食品取引に係る第三者プラットフォーム提供者は、安全でない食品を発見する場合には、遅滞なく有効な措置を講じて関連する経営者が安全でない食品の経営を停止するよう確保しなければならない。(第9条)

  (4)食品生産経営者に係るリコールの期限及び手続を規範化し、公告の発布等を規範化する。(第12から第15条)
(5)法による厳格な監督・管理を強化する。まず、法により履行するよう命ずる。食品生産経営者が法令どおりに安全でない食品の生産経営を停止せず、リコールせず、及び処分しない場合には、県級以上の食品・薬品監督・管理部門は、その者に上記義務を履行するよう命ずることができる。(第23条)
(6)食品生産経営者は、生産経営の停止、リコール及び処分に係る安全でない食品の名称、商標、規格、生産日、ロット及び数量等の内容をありのままに記録しなければならない。記録の保存期間は、2年を下回ってはならない。(第29条)
(7)安全でない食品の生産経営を直ちに停止せず、主体的にリコールせず、規定の期限どおりにリコールを開始せず、リコール計画どおりにリコールせず、又は安全でない食品を規定どおりに処分しない等の行為について、いずれも法的責任を設定する。(第38条から第42条)
(8)食品・薬品監督・管理部門は、食品生産経営者が安全でない食品の生産経営を停止し、リコールし、及び処分する状況につき現場監督・検査をすることができる。(第31条)
(9)食品・薬品監督・管理部門は、食品生産経営者が提出する安全でない食品に係る生産経営の停止、リコール及び処分報告に対し評価をすることができる。評価結論により食品生産経営者が講ずる措置が食の安全に係るリスクのコントロールに十分でないと認める場合には、食品・薬品監督・管理部門は、食品生産経営者が安全でない食品の生産経営を停止し、リコールし、及び処分するより有効な措置を講ずるよう命じなければならない。食品・薬品監督・管理部門は、食品安全専門家バンクの設立を組織し、安全でない食品の生産経営を停止し、リコールし、及び処分するために専門的サポートを提供する。(第34条)

  (10)リスクを有効に防止・コントロールするため、食品・薬品監督・管理部門は、事前警報情報を発布し、関連する食品生産経営者が安全でない食品の生産経営を停止するよう要求し、かつ、消費者が飲食を停止するよう提示することができる。(第35条)
(11)県級以上の地方食品・薬品監督・管理部門は、安全でない食品の生産経営を停止し、リコールし、及び処分する状況を食品生産経営者信用档案に記入する。(第36条)
2、今後の注意点
この弁法は、食品、食品添加物及び健康食品に適用する。
(全46条)

作成日:2015年04月09日