外資系企業閉鎖の際の環境保護関連の法定義務と対処案
Q:当社は、青島の日系メーカーです。土地と工場建物は、自社所有物です。ここ数年、中国の労務コストが上昇し、円安のプレッシャーも厳しいため、日本本社は当社の閉鎖を考えています。今年1月1日より中国では新たな『環境保護法』が施行されたとも聞いています。会社を閉鎖するにあたり、環境保護の点では、どのような法定義務があるのでしょうか。制限が有る場合、当社はどのように対処するべきでしょうか。
A:1.会社が閉鎖する過程における環境保護関連の法定義務
ご存知のように、今年1月1日から新たな『中華人民共和国環境保護法』が施行されました。新たな環境保護法第32条には、国が、大気、水質及び土壤等に対する保護を強化し、これに相応する調査、モニタリング、評価、回復を行う制度が明確に規定されました。当該条項により、土壤等の環境の回復制度が今後確立し、完備されてくることが予想されます。貴社閉鎖の過程におかれましても、土壤等の環境回復にかかる基本法や行政法規が発表される可能性がございます。
現時点では、完備された法律制度及び詳細でシステマチックな法律は定められておりません。上記の法律の規定が完備されていない状況において、環境に関連する若干の規定が主に環境保護局等の部門規則及び制度上に散見されるのみです。しかし、これらの部門規則及び制度の規定に基づいて、環境保護機関は、用地の使用権者(化学工業、金属冶金、農薬、メッキ及び危険化学物質の生産、保存、使用の企業、その他重点的に監督管理が行われている工業企業)が専門機関へ閉鎖・生産停止、移転した工業企業の原用地の環境アセスメント調査、リスク評価、土壌の改善・修復を依頼し、これを行う催促をしなければならないと定められています。
2.対処案
(1)会社閉鎖時の土地等の環境に対する調査、評価、回復についてシステマチックな法律制度が定められていない状況におかれましては、上記機関の部門規則及び制度性書類の規定、所属する業界、生産経営の過程での環境への危険をもたらす可能性の要素、日常生産経営の過程で環境保護機関から監督管理を受けた状況等を踏まえ、閉鎖過程での環境保護面の対処案に対し、コンプライアンスを遵守しながら充分にセルフチェックと検討を行います。
(2)会社の閉鎖過程で現地での環境調査、評価、回復を行う必要があるかどうかについて、環境保護機関等の所管政府機関の意見をヒアリングすることは極めて重要です。上記のセルフチェック及び分析を通じ、貴社の具体的な状況に基づき、適切な時期を選んで所管の環境保護機関に対し貴社名を伏せた問い合わせ又は貴社名を明らかにする問い合わせを行います。
(3)上にも述べました通り、貴社が閉鎖を決定されるか、閉鎖を進めている過程において、土地の環境修復等の面の基本法又は行政法規が公布される可能性がございます。その際は、貴社は新たな法律法規に基づいて対処案を再検討される必要が出てまいります。貴社が現在は閉鎖を検討されている段階との事ですので、引き続き関連する法律法規の公布に関心を払われることをお勧めいたします。
作成日:2015年03月20日