最新法律動向

一部の地域を外資系企業における資本金の外国為替決済管理方法の改革のテスト地区に― 外貨管理局 ―

中国国家外貨管理局は、8月4日に『一部の地域における外資系企業における資本金の外国為替決済管理方法の改革のテスト地区にすることについての国家外貨管理局の通知』(滙発[2014]36号、以下36号文書という。)を公布した。天津浜海新区、蘇州工業園区等16の地域を外資系企業における資本金の外国為替決済の改革のテスト地区に指定し、外資系企業の経営と資金運用の必要性を十分に満たし、利便性を図るため、テスト地区の外資系企業の外国為替決済には任意の外国為替決済を許可すると通知した。外資系企業の外貨資本金の任意の外貨為替決済とは、外資系企業の資本金口座の中で所在地の外貨管理局にて出資権益確認手続きをしている外貨資本金の場合、企業の実際の経営の必要性に基づいて銀行にて外貨為替決済することを指す。テスト地区内に登録設立された外貨で投資される企業の外貨資本金の任意での外貨為替決算の割合は暫定的に100%とする。また、国家外貨管理局は、国際収支の情勢に基づいて上記の割合を適時調整を行なう。これまでの外貨管理局の外資系企業の資本金に対する外国為替決済の審査認可制度及び外国為替決済金額の割合への管理制度に比べ、今回の36号文書では資本項目の兌換段階が簡素化されたと言える。しかし、このような資本項目の監督管理の緩和は、監督管理機関が完全にその管理の手を緩めたわけではなく、外資系企業の外貨資本金の任意での外貨為替決済により得られる人民元資本に対し、外国為替決済により支払待ちの段階での口座への管理となるものである。

注目されるのは、36号文書が現在の滙綜発 142号文書の殻を破ったという点にある。142号文書では、外資系企業が外国為替決済で得た資金は、その外資系企業が認可された経営範囲内の業務でのみ使用することができ、持分投資や貸付に使用してはならないとされていた。しかし36号文書では、一般的な外資系企業(投機的な外資系企業に比べてという意味)は、資本金の外貨為替決済により得た資金を持分投資に使用できると規定している。これは、外資系企業が外国為替決済により得た資金により中国国内で持分による投資を行うことにとって更に利便性を高めることとなり、外国の持分投資ファンドが中国市場へ投資することへより多くのより有利な条件を創り出している。また、36号文書では、元の貨幣により持分投資に繰り入れるほか、投資が主要な業務の外資系企業へ、その中国国内での投資プロジェクトが真実で、合法的であるという前提のもと、実際の投資規模に基づいて、外貨資本金を直接外国為替決済した後、投資された企業の口座に繰り入れることも許可するとも規定している。こうした新たな措置は、中国国内の企業が外国の融資を利用して業務を発展する上で積極的な意義があるといえる。また、新たな36号文書は、実際に国家外貨管理局が更に監督管理を緩和しようという考え方を体現している。即ち、条件に適合する外資系ベンチャー企業又は外資系投資企業に対し、ファンドという点から外貨資本金を直接外国為替決済できるようにし、その上で投資された企業の口座に繰り入れることを許すものである。しかし、一部の専門家によると、人民元資金は、外国為替決済により支払いが待たれる口座への監督管理が求められているため、銀行の外国為替決済により支払いが待たれる口座の収入及び支出の監督管理は原則として142号文書における一貫した原則に従っており、実質的に監督管理の段階は、元々の外貨資本金の外国為替決済段階から、外国為替決済後の人民元の使用段階まで延長されたとの指摘もある。新たな規定の実際の効果はどうか。これは外貨管理局の審査認可の原則及び監督管理の基準にかかっている。

 

(外貨業ネットより)

 

作成日:2014年10月14日