法律相談Q&A

ストライキ対処のポイントについて

Q1:当社は山東省にある日系企業です。一部の従業員が賃上げを要求し、ストライキを始めました。従業員を職務に復帰させるため、会社はどのように対応すれば良いでしょうか。

A1:①労働紛争や暴動の発生など、事態の更なる悪化を避けるため、速やかに法律の専門家にサポートを求めましょう。これは、従業員のストライキに対する処理方法が中国の法律に適合していることを保証し、会社が緊急事態において非合法、不適切な決定をしてしまい、これを従業員から悪意で利用されてしまうことを避けることができます。また、現場の状況は一瞬にして変化します。そのため、法的知識を持ちストライキ・職場放棄問題を処理したことのある法律の専門家により現場で会社と協力して臨機応変に対応でき、最大限事態の更なる悪化を避けることができるでしょう。

②会社は労働組合の役割を十分に発揮させ、労働組合を通じて従業員と充分に話し合い、従業員の意見と要求を正確に把握しましょう。労働組合を設立していない会社の場合、従業員に従業員代表を選出させ、会社と従業員代表が話し合うというのも一つの方法です。労働組合、従業員代表、一般従業員との有効な話し合いを通じて、従業員の訴求を全面的に把握し、出来る限り従業員の要求の最低ラインを探ります。これと同時に、会社が受け入れられる内容と譲歩できない内容を明確化し、法律及び会社の経営の実情に基づいて、会社の対応策を決定することができます。

③従業員の速やかな職場復帰を促すため、会社が決定した方針に基づいて従業員と話し合い、会社が受け入れ可能な要求を従業員に告げ、履行が必要な手順を踏んで実行し、なお且つ従業員からの理解を取り付けるよう努力します。会社管理の統一性と手続きの合法性を保持するため、会社がすぐに従業員からの要求を受け入れたり、一部の従業員だけを優遇することは出来る限り避けましょう。従業員からの道理のない要求に対して、会社は法律法規及び会社の管理規定から説得し、従業員から理解を得るようにしましょう。

④必要な場合には、政府機関へ積極的に報告、話し合いを行い、政府機関からの理解と支持を取りつけるようにします。

 Q2:会社と従業員が話し合いにより合意に至ることができず、従業員がストライキを続けた場合、会社はストライキしている従業員を解雇することができるでしょうか。

A2:『労働契約法』第39条には、従業員が著しく会社の規則制度に違反した場合、会社は当該従業員の労働契約を解除することができると規定されています。しかしながら会社が当該条項を利用して従業員を解雇する場合、当該従業員が会社の規則制度に違反したことに対して立証責任を負う必要があります。そのため、ストライキを扇動した一部の従業員に対し会社は状況を見て解雇を決定し、他の従業員への警告の役割を持たせることができます。ストライキという緊迫した状況において、如何なる内容及び手順によって合法的かつ秩序だって従業員が著しく会社の規則制度に違反したことの証拠を収集するかについては、法律の専門家による現場でのアドバイスを受けることが大変助けになるのではないかと存じます。

 Q3:今後再びストライキ事件が発生することを予防するため、会社はどのような措置が取れるでしょうか。

A3:従業員がストライキ事件を起こしたということは、従業員と会社の日頃の交流に一定の障害が存在することの現れではないかと思われます。日中文化の違いにより、日本側の管理層と中国人従業員の日頃の交流は往々にして欠けている場合が多く、従業員の日頃の意見は往々にして会社の指導者層に伝わることが難しく、従業員の会社に対する不満を蓄積しやすくなっていることが懸念されます。このため、次の提案をさせていただきます。

①従業員の日頃の不満や通報を受け付ける窓口を設ける。会社は労働組合を通じてか、意見箱を設置する等の方法により従業員の日頃の不満、通報、意見、提案等を受け付け、従業員が平和的な話し合いの方法で意見を提案するように促します。

②従業員の日頃の不満や通報に対して、会社は中国の法律及び会社の具体的な経営状況に基づいて積極的に回答し、不満や通報の窓口が形骸化することを避けます。また、日中文化には違いがあるため、回答の表現方法にも充分に気をつける必要があります。必要な場合には、中国人の弁護士にサポートを依頼して確認することもできるでしょう。

③会社内部の規則制度(就業規則等)を整備することも大切です。ストライキ事件に直面した場合、必要なときには、こうした会社の合法的で有効な規則制度を利用し、一部の従業員を処分しましょう。

作成日:2014年09月19日