社内規則作成の注意点
Q:当社は日系企業です。従業員を円滑に管理するため専門の会社に依頼し、従業員の行動規則として詳細な規則を作成させました。しかし、当該規則に基づいて減給や労働契約解除等の従業員に対する処分を行った結果、労働仲裁委員会より規則は無効だと判断されました。どうすれば規則を合法的かつ有効に活用することができるのでしょうか。
A:労働法は、会社へ法律に基づいて整った規則を作成する権利と義務を与えています。しかし、これは会社側が無原則に規則を作って良いということではございません。一定のプロセスと決まりに従って作成してこそ有効となります。『労働契約法』第4条には、合法的かつ有効な規則は、次のような条件を満たしていなければならないと規定されています。
1.規則作成主体の合法性
社内規則を作成する組織は、会社の管理機構において最高意思決定機関であり、会社の各部署と全従業員に対し全面的かつ統一管理を行う組織である必要があります。社内の生産現場や生産チームは会社の名義で社内規則を作ることはできないため、もし彼らが主体となって社内規則を作成した場合は、従業員に対し予期されている法的効力を生じないこととなります。
2.内容の合法性
内容の合法性について、会社側が作成した規則の内容は法に定められている規定と一致し、法律に抵触しないことが求められます。抵触した部分は無効となります。
3.規則制度の制定プロセスに関して民主的な手順に適合する必要性
従業員自身の利益に関連する全ての規則は、民主的な手順に適合している必要がございます。いわゆる民主的な手続きの第一ステップは、全従業員或いは従業員代表と規則案について討論することです。全従業員或いは従業員代表は、意見を述べたり、提案することができます。第二ステップは、規則案を協議し、決定することです。会社側は従業員或いは労働組合との協議を通じて決定しなければなりません。もちろん最終的な決定権は、会社側にあります。
4.公示の必要性
規則は、従業員に公示する必要があります。公示しないと労働紛争案件を審理する根拠としての法的効力が備わりません。如何に公示するか、公示方法、公示形式につきまして、法律上明確な規定はありません。実務においては、研修、訓練、試験、就業規則作成などの方法で従業員に告知します。何れの方法を採用するにしても、会社側にとっての最善策は、規則の内容を全て承知し、遵守することに同意するという意味で従業員より署名を取り付けることでしょう。
作成日:2014年06月19日