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「悪意による給与欠配罪」の刑事訴追の難しさ

 2011年2月、全国人民代表大会常務委員会において刑法修正案が可決され、悪意による給与欠配行為が刑事罰に加えられた。司法の実践上の便宜を図るため、2013年に最高裁は悪意による給与欠配行為の刑事罰化について司法解釈を行った。しかし、人力資源社会保障部が最近発表した数字が示すように、「労働報酬支払拒否罪」は給与欠配事件解決への伝家の宝刀ではあるものの、給与欠配事件の多数発生を抑えることは難しいことが読み取れる。

 立証が難しく、地方保護主義が著しい

 人力資源社会保障部労働監察局の閻宝卿局長は、次のように述べている。「『給与欠配行為の刑事罰化』は、労働報酬の未払という犯罪行為を抑制する上で一定の効果をあげた。以前、我々は行政手段を通じて給与欠配者へ支払命令を出すのみで、その効果は理想的ではなかった。」また、江西省労働監察局の段明局長は、「労働報酬の支払いを拒否」した給与欠配者は自らが公安機関に立件され調査される可能性があると分かった時点で、その多くが給与を速やかに出稼農民に支払う。」と述べている。

 しかし給与欠配事件が多数発生するという情勢には、根本的な変化はない。人力資源社会保障部の発表した数字によれば、全国各レベルの労働保障監察機関は去年合計17.4万件の給与欠配事件を処理した。うち労働報酬支払拒否罪が公安機関へ移送された事件は2,039件に上った。

 「証拠収集の難しさ、立件の障害は、我々が直面する2難題である。中でも出稼農民は権利維持レベルが低く、証拠を保存する意識も薄弱であり、工事が何十にも下請けに出されている等の問題が公安機関の労働報酬欠配の証拠収集の難しさを高めている。また根本的に解決することが難しい地方保護主義が更に司法機関が事件を立件する際の大きな障害になっている。」江西省赣州市章貢区人民法院の研究室傅一波主任は、この問題をこう分析する。「一部の地方では当該地方の経済発展を保護するという観点から、率先して誘致した重点企業に対して不合理な保護を行っている。そのため、このような企業が関わる事件では、たびたび干渉を受けるため、公安機関もこうした事件を積極的に立件しようとしていない。」

 「一部の法執行者は、悪意による給与欠配行為に対する危険性の認識不足のために、法執行が過度に甘く、処分が厳しくないという現象が生じやすくなっている。これが悪意による給与欠配罪の執行を難しくしている。」傅一波主任は、こう述べる。

 「我々は一般に争議調停、仲裁、監察という様々な方法を通じて給与欠配問題の解決を図っているが、公安機関に送り処理した案件はない。悪意による給与欠配罪の刑事訴追は、給与欠配者に衝撃を与える効果がある。」南昌市労働監察局史震宇副局長は、速やかに労働報酬を取り戻すことが最も切迫した問題であるため、出稼農民は自らが費やす必要のある時間とコストを考慮し、刑事訴訟を提起するより、調停や仲裁を申し立てることがより早い手段であるという。

(新華ネットより)

作成日:2014年02月07日