工場建物賃貸契約を締結する際に注意すること
Q1:当社は青島にある日系企業で、このたび工場建物を賃貸する予定です。賃貸人と賃貸契約を締結するにあたり、どのような点に注意すれば宜しいでしょうか。
A1:工場建物の賃貸は、会社の生産経営にとって極めて重要な事と思います。賃貸契約を締結する前に、先ず賃貸する工場建物の権利帰属状況を確認します。これは、賃貸人が実際には権利を持っていなかったことから、後日賃貸契約の効力に悪影響が及ぶという事態を避けるために必要となります。具体的な方法としては、賃貸人に国有地使用権証と不動産権利証(この2証書が1つにまとめられている場合もございます。)の提出を求めては如何かと存じます。
尚、実務において抵当権の設定や差し押さえの情報が上記の証書に記載されていない場合もありますので、慎重を期して賃貸を検討している土地と不動産について、行政管理機関にて登記状況を問い合わせられることをお勧めいたします。その際、以下の2点を確認することがポイントとなります。
①賃貸人が当該工場建物の所有権者であり、これを賃貸する権利を持っていること。
②当該工場建物に抵当権が設定されたり、差し押さえられていないこと。
Q2:よくわかりました。それから、工場建物の賃貸契約には普通どのような内容が書かれていなければならないかを知りたいのですが。
A2:不要な紛争が生じて会社の生産経営に悪影響を及ぼさないようにするためには、内容の充実した賃貸契約書を締結し、賃貸双方の権利義務を明確に約定する必要があります。一般的に、工場建物の賃貸契約では、賃貸契約を締結する主体、賃貸目的物の権利帰属状況、賃貸の用途、賃貸の期限、家賃の支払方法、工場建物の維持・修理責任、賃貸契約の解除および終了、違約責任等を明確に約定する必要があります。
Q3:実は賃貸する工場建物に内装や改装を行うことを考えているのですが、問題ありませんか。
A3:『契約法』第223条によれば、賃借人が賃貸物件について内装または改装する場合、賃貸人の同意を得る必要があると規定されています。したがいまして、貴社が工場建物の賃貸契約を締結する際、賃貸人へ貴社の大まかな内装および改装工事プランを告げ、契約の中で賃貸人が貴社の工場建物に対する内装および改装に同意したことを明確に約定することをお勧めいたします。尚、将来賃貸契約の終了または解除の際に賃貸双方の間に内装や改装した物件の撤去や補償についての紛争が生じるのを避けるため、こうした問題についての処理方法を契約に予め明確に約定しておくことをお勧めいたします。
また、工場建物の改装については、改装の具体的な内容によっては、建設行政管理機関、消防機関等の行政機関にて審査・認可・届出手続きが必要になる場合がございます。こうした手続きを怠った場合、行政処分を科される可能性もございます。
Q4:わかりました。工場建物の内装と改装について、賃貸人とよく相談いたします。もし届出が必要な場合には、賃貸契約を締結した後に届出るのでしょうか。
A4:『商品不動産賃貸管理弁法』第14条および第16条によれば、不動産賃貸の当事者は不動産賃貸契約を締結してから30日以内に賃貸物件所在地の不動産所管機関にて不動産賃貸登記届出手続きを行わなければならず、不動産所管機関は賃貸の当事者へ不動産賃貸届出証明書を発行しなければならないと規定されています。したがいまして、貴社におかれましても、賃貸人と賃貸契約を締結した後、30日以内に届出ることをお勧めいたします。
作成日:2013年12月23日