『労務派遣に関する若干の規定(意見聴取稿)』
『「中華人民共和国労働契約法」の修正に関する全人代常務委員会の決定』を着実に実行し、労務派遣を更に制度化するため、労働部は『労務派遣に関する若干の規定(意見聴取稿)』を起草し、広く社会からパブリックコメントを求めることになりました。パブリックコメントの締切日は、2013年9月7日となります。
主な内容は以下の通りです。
1.労務派遣の定義について
意見聴取稿では、労務派遣とは、使用者が経営の為に採用した労働者を他の使用者に派遣し、派遣された側の使用者が労働者の労働過程に対して直接管理を行う使用形式と規定されています。この形式以外に、使用者は業務を受注業者に発注することもできますが、当該業務に従事する受注業者の労働者の労働過程に対して直接管理を行う場合は、労務派遣の使用に該当します。(第2条)
2.臨時的、補助的、代替的な業務職位について
取り扱いやすさを高めるため、意見聴取稿では補助的な業務職位について、次のように詳細な規定をしています。「補助的な業務職位とは、主要な業務職位の為にサービスを提供する主要でない業務職位を指す。使用者の補助的な職位は、使用者が所属する業界と業務の特徴に基づいて、労務派遣を使用する補助的な職位の一覧表を提出し、労働組合または従業員代表大会での協議を経て確定し、なお且つ使用者内に公示し、監督を受ける。」(第4条第3項)
3.使用の割合について
『労働契約法』の改訂の要請に基づいて、意見聴取稿は、使用者が労務派遣を使用する割合について規定を設けています。即ち使用者が補助的な職位に派遣労働者を使用する割合は、全労働者の10%を超えてはならないと規定しています。全労働者とは、使用者が労働契約を締結している労働者の人数と、使用者が補助的な職位に使用している派遣労働者の人数の和を指しています。(第5条)これと同時に、意見聴取稿では一部の外国の会社が臨時性、補助性、代替性という業務職位の制限を受けないケースについても具体的な規定を設けています。(第6条)
4.労働契約の締結、履行、解除、終了について
労務派遣会社は、特殊な使用者に該当します。そのため意見聴取稿では労働契約の期限、協議による固定期間のない労働契約の締結、試用期間、同一労働・同一報酬、労働契約の解除、経済補償金および労務派遣会社と使用者の義務等に関連する内容を規定しています。(第7条から第28条)
5.地域を跨ぐ労務派遣について
地域を跨ぐ派遣行為の制度化のため、意見聴取稿では、派遣労働者の労働報酬、労働条件、社会保険料の基準及び社会保険への加入方法について規定を設けています。(第29条、第30条)
6.監督管理と法的責任について
労務派遣への監督管理を強化するため、意見聴取稿では人力資源社会保障行政機関、労働組合、労務派遣業界協会の職務責任を規定しています。(第31条から第33条)また労働者の権利を保護するため、意見聴取稿では、労務派遣会社、使用者が労働契約法の規定に違反した場合の法的責任と連帯賠償責任を規定しています。使用者が労働契約法の労務派遣に関する臨時的、補助的、代替的という規定と割合の規定に違反し、行政処分を受けてから1ヶ月が経過しても是正しない場合、派遣労働者と使用者は労働関係を確立したと見なすと規定しています。(第34条から第37条)
7.過渡期における使用割合の処置について
法律の穏やかな施行を保障し、労働契約の調整が労使関係に及ぼす影響を最大限减少させるため、労働契約法の改訂が決定し、施行される前に締結された労務派遣契約と労働契約について規定が設けられています。即ち、労働契約法の改訂が決定し、施行される前、法に基づいて締結された労務派遣契約と労働契約は契約期間満了まで継続して履行できるものとされています。使用者は、臨時的、補助的、代替的な職位という規定または労務派遣の使用割合に合致していないか労務派遣会社が法に基づいて行政許可を取得していないことを理由に派遣労働者を返還してはならないとしています。ただし労務派遣契約と労働契約の内容が改訂後の労働契約法の同一労働・同一報酬の規定に適合していない場合、改定後の労働契約法に基づいて調整しなければならないとしています。
使用者が労働契約法改訂前の臨時的、補助的、代替的な職位という規定以外に、使用している派遣労働者の割合が規定を超えている場合、規定の割合に達する迄は、補助的職位に新たな派遣労働者を使用してはならないと規定されています。(第39条)
より詳細な内容につきましては、以下のURL(中国語)をご覧ください。http://www.chinalaw.gov.cn/article/cazjgg/201308/20130800389847.shtml
作成日:2013年08月08日