最新法律動向

年次有給休暇をめぐり従業員が会社を訴え

 ボイス・オブ・チャイナの報道によれば、法律では10年以上の勤続年数の従業員が取得できる年次有給休暇にかかる賃金は10日分とされているにも関わらず、中和錦程公司は、会社の規定では従業員の年次有給休暇が5日と定められていることを理由に、未取得の年次有給休暇にかかる賃金の支払いを拒否したことから、従業員から裁判所に訴えられた。一審の判決では、従業員側の請求が支持されたが、中和錦程公司はこれを不服として、北京第一中級人民法院に上訴した。6月27日に二審が開廷された。

 原告従業員8名は、中和錦程公司と締結した労働契約の中で、従業員らの賃金は固定額と約定され、賃金の内訳には基本給、職位手当と補助が含まれているとした。また、中和錦程公司の規則制度では、従業員が毎年取得できる年次休暇は5日迄とし、なお且つ通知の内容に基づいて賃金を支給し、従業員は5日迄しか年次休暇を取得できないと規定しているとした。

 中和錦程公司は、以下の理由により上訴を決定し、二審において一審の判決を覆すことを求めている。
①賃金は変動賃金であり、歩合を含むため、現在従業員へ支給する歩合は毎月の賃金に割り振られており、既に契約で約定している月賃金額を超過しているため、従業員の賃金を遅配する状況は存在していない。
②従業員は、毎年会社の規定に基づいて5日間の年次有給休暇を取得しており、年次休暇がないという状況も存在しない
③契約が満了したため、会社は従業員へ契約更新の通知を送付した。したがって労働契約を締結しないことに伴う2倍の賃金の差額および労働契約の解除に伴う経済補償金も支給する必要はない。
③従業員の時間外勤務についても既に代休を取得させていたため、従業員へ時間外勤務賃金を支給することにも同意はできない。

 原告の従業員8名は、2000年に紫光集団に入社して勤務を開始した。その後、紫光生物公司へ出向となり、同社が社名変更し、中和錦程公司となった。2009年3月、中和錦程公司は、いわゆる変動賃金決定なる通知を発表したが、従業員は、当該通知を法律の規定に違反したものだと見ている。なぜなら国の関連する法律の規定によれば、10年以上勤務した場合、10日間の年次休暇を取得できると規定されているからである。

ニュースの背景

 『従業員年次有給休假条例』、『企業従業員年次有給休暇実施弁法』は、2008年1月1日より施行され、現在迄に5年の歳月が流れている。年次有給休暇の主な法的根拠は、この2種類の法規によっている。

 法律の規定によれば、国家機関、団体、企業、事業者、NPO、従業員のいる個人経営者等の従業員が連続して1年以上勤務した場合、年次有給休暇を取得できると規定されている。事業者は、従業員の年次有給休暇の取得を保証しなければならない。従業員は、年次有給休暇期間に正常な勤務期間と同様の賃金収入を取得することができる。法律は、従業員の累計勤続年数が1年以上10年未満の場合は、年次休暇は5日、10年以上20年未満の場合、年次休暇は10日、20年以上の場合、年次休暇は15日と具体的な規定を設けている。

 使用者が従業員の同意を経て年次休暇を手配しないか、従業員に手配した年次休暇日数が法に定める年次休暇日数より少ない場合、当該年度に従業員が休ませるべきであるのに休ませていない年次有給休暇日数に照らし、1日の賃金収入の300%つまり3倍の年次休暇未休にかかる賃金報酬を支払わなければならない。使用者が従業員に年次休暇を手配したものの、従業員本人の理由か、書面で年次休暇を取得しないこと旨を提出した場合、使用者は正常な勤務期間の賃金収入のみを支給することができる。

 法律に基づけば、使用者が従業員へ年次休暇を手配せず、本条例の規定に基づいて年次休暇賃金報酬を支給しない場合、当局より期限付きでの是正を命じられると規定されている。期限を過ぎても是正しない場合、年次休暇賃金報酬の支払いを命じられるほかに、年次休暇賃金報酬の金額に基づいて賠償金を加算支払いしなければならない。年次休暇賃金報酬・賠償金の支払いを拒否した場合、公務員と公務員法を参考に管理される者が所属する事業所では、直接責任を負う所属長およびその他直接責任を負う者は法に基づいて処分される。その他の事業者の場合、労働保障機関、人事機関または従業員より裁判所へ強制執行を申請することができる。これらは何れも法律が従業員に与えた権利である。

(中国ラジオネットより)

作成日:2013年07月11日