最新法律動向

出勤ルートを変更し事故に遭った場合も労災に -従業員の出勤途中の事故死が労災と認定、使用者は不服として提訴したが敗訴に-

 聊城冠県にある会社の糸巻工場の孫氏は、出勤途中に自動車事故に巻き込まれて死亡し、人力資源社会保障局(人社局)に労災として認定された。しかし孫氏の会社は、交通事故に遭った場所が孫氏のいつもの出勤ルートでは無かったことを理由に、裁判所へ労災認定の撤回を要求する行政訴訟を提起した。これに対し、東昌府区人民法院は、人社局の認定を維持する判決を下した。
 情報によれば、2月22日14時40分頃、孫氏は電動自転車で出勤の途中、国道309線に沿って西から東へ725キロの場所へさしかかった時自動車に衝突され、救急医療を施されたものの翌日に死亡した。その後、孫氏の両親は現地の人社局へ労災の認定を申し立てた。人社局は『労働災害保険条例』の規定に適合すると考え、孫氏の今回の事件での死亡を労災と認定した。

 しかし、孫氏が生前働いていた会社は、この認定に異議を唱えた。同社によれば、孫氏の住所は従業員宿舍であり、孫氏の本籍地の冠県鋪尚村ではないという。『中華人民共和国民法通則』第15条の規定に基づけば、本籍所在地の居住地を住所とするが、通常の居住地と前述の住所が一致しない場合、通常の居住地を住所と見なすと規定されているため、孫氏が交通事故に遭遇したのは出勤途上とは見なされないという考え方を示した。 

 これに対して、東昌府区人民法院は審理の結果、従業員の労災ケースの「出退勤の途中」とは、従業員が勤務先と居住地を往復する場合の合理的な時間内およびルートと認定した。ルートが合理的か否かは、人々が一般的に合理的と認識する基準を根拠とすべきであるとした。当該案件において、交通事故の発生場所は、孫氏の合理的な出勤ルート上であり、交通事故が発生した時間も合理的な出勤時間の範囲を超えていないとして、孫氏の出勤途上で受けた交通事故は、労災と認定されるべきであると判断した。

(斉魯晩報より)

作成日:2013年06月07日