労働契約法の改訂について(後編)
昨年12月28日に『労働契約法』が改正され、今年7月1日より施行されます。今回の改正では、現在派遣制度が濫用されている状況に鑑み、①派遣会社の資格に関する条件の変更、②同一業務・同一賃金、③「三つの的」の意味の明確化、④処分の厳罰化という4つの面で労務派遣へ対する規制を強化しています。今回の改訂案は現在派遣労働者(以下「派遣社員」という。)を使用している日系企業にも、今後影響が出ることが予想され、多くの質問が寄せられています。
③派遣社員の「三つの的」の意味の明確化
Q3:会社の派遣社員が「三的(臨時的・補助的・代替的)」に当てはまるのかどうか不明です。
A3:今回の改正案では、労務派遣従業員の職位の「臨時的、補助的および代替的」性質について定義は原則的に定めているものの、実は定義の内容には曖昧模糊(もこ)とした部分が依然としてうかがえます。このため、中国の行政、立法、司法各部門による立法および法律解釈を通じてその定義が厳密な意味で明確にされるまでは、企業の職位の設置において、上記の規定に違反しているか否かの判断は、中国の政府労働部門または法院が自由裁量の範囲内で下す裁決によるところが大きいとも専門家は語っています。大量の労働派遣従業員を使用する場合、上記の「臨時的、補助的および代替的職位」の定義に関する立法動向に注目すると同時に、自社の派遣従業員に関わる業務職位を改正案中の「臨時的、補助的および代替的職位」の具体的な規定に符合させることにより、会社の派遣従業員に関わる職位の設置が上記の規定に違反すると認定される法的リスクの軽減を図るよう努力すべきでしょう。
第66 条〔改正後〕「( ・・・前略)労働派遣による雇用は補足的な形式であり、臨時的、補助的または代替的な業務職位に限り実施する。前項に規定する臨時的業務職位とは、継続的に勤務する期間が6 カ月を超えない職位を指す。補助的業務職位とは、主要業務を行う職位にサービスを提供する非主要業務を担当する職位を指す。代替的業務職位とは、派遣先の労働者が休職して研修を受けたり、休暇を取得したりする等の理由で勤務できない一定の期間に他の労働者が代替可能な業務を行う職位を指す。(後略・・・)」
④違法使用に対する処分の厳罰化
Q4:派遣社員を違法に使用するとどうなりますか?
A4:第92条では、派遣従業員の使用を悪用した場合の、使用者に対する処罰を強化する姿勢を一層明らかにしています。いったん派遣従業員の使用において違法行為があると認定された場合、派遣従業員の使用によるコスト削減という目的を果たせないだけでなく、違法行為による著しい損失の賠償も企業が引き受けることになります。
第92 条〔改正後〕「本法の規定に違反し、許可を経ずに、みだりに労務派遣業務を経営した場合、労働行政部門は違法行為の停止を命じ、違法所得を没収する。( ・・・中略・・・)労務派遣機関、派遣先が本法の労務派遣に関する規定に違反した場合、労働行政部門より期限を定めて是正を命じる。期限を過ぎても是正しない場合は、__________1人当たり5 千元以上1 万元以下の基準で科料を科し、労務派遣機関に対しては、その労務派遣業務経営許可証を取り消す。派遣先が派遣労働者に損害を与えた場合、労務派遣機関および派遣先が連帯賠償責任を負う。」
作成日:2013年03月20日