法律相談Q&A

競業制限にかかる経済補償金を支払う際の競業制限条項の発効要件

Q:当社は機械メーカーです。技術者と労働契約を締結する際に競業制限協議を約定いたしました。これは離職後2年間、当該従業員が競業関係のある会社に就職することを禁止し、これに違反した場合には巨額の違約金を約定したものでした。20126月に、当該技術者は離職後3ヶ月目に当社と競争関係のある会社へ就職しました。当社は、競業制限協議を根拠として当該従業員の法的責任を追及することは可能でしょうか。

A:『労働契約法』第23条には、「秘密保持義務を負う労働者に対して、使用者は労働契約又は秘密保持協議の中で労働者と競業制限条項を約定し、かつ労働契約を終了又は解除した後、競業制限期間内に月極で労働者に支払う経済補償について約定することができる。労働者が競業制限の約定に違反した場合は、約定に基き使用者に違約金を支払わなければならない。」と規定されています。当該条項の規定に基づけば、競業制限条項の発効には少なくとも以下の2条件を満足させる必要があります。

(1)労働契約終了又は解除後であること。

(2)使用者が既に約定に基づいて競業制限期間内の経済補償金を支払っていること。

 但し、競業制限の補償基準、違約金の基準については、明確な法律規定は存在せず、主に使用者と従業員が公平かつ合理的、平等自発の原則に基づいて自ら約定します。

 従いまして、貴社は当該技術者に対して競業制限協議を締結することが可能です。貴社が当該従業員の離職後、既に協議に基づいて当該従業員へ競業制限にかかる経済補償金を支払っている場合、当該競業制限協議は既に発効しているため、貴社は協議の約定に基づいて当該従業員の違約責任を追及することができます。双方の協議に基づいて巨額の違約金を約定できるか否かは、具体的な実際状況を見る必要があるかと思われます。

作成日:2012年12月27日