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「カーナース」商標権侵害訴訟開廷~権利侵害紛争、更にヒートアップ~

 2012年10月18日、北京卡楽仕企業管理有限公司(以下「カーナース管理」という。)による北京卡楽仕汽車服務有限公司の(以下「カーナースサービス」という。)の商標専用権侵害事件について、北京市朝陽区法院酒仙橋法廷での審理が始まった。

 カーナース管理の主張によれば、カーナースサービスはカーナース管理の許可を経ず、同じ商標上に同社と全く同じ中国語「卡楽仕」を使用したため、全国各地の消費者をミスリードし、カーナース管理の洗車機商品企業に打撃を与え、カーナース管理のマーケットシェアを低下させ、カーナース管理のブランドの名声に大きな損害を齎した。一方、カーナースサービス側は、自らの洗車機商品には「卡楽仕」商標を使用したことはなく、「卡楽仕洗車機」は広告上の商号に過ぎないと認識している。なお且つカーナース管理が訴訟を提起した後、「卡楽仕洗車機」という名称及びマークを全て自らのブランドである「CNS洗車機」に更新したため、権利侵害を構成していないと認識している。

 カーナースサービスが権利侵害を構成しているか否かについて、双方は激烈な弁論を行い、それぞれ裁判所へ証拠を提出した。今回の「カーナース」の紛争について、司法による判断が待たれることとなった。

カーナースサービスは、「商標を更新した」
 
当該事件は、今年年頭に発生した。カーナースサービスに管理侵害の疑いがあることが発覚した後、カーナース管理側は何度も以下の声明を発表した。自らは、登録番号7395843の「卡楽仕」という中国語商標の合法的な保有者であり、上記の商標が「車両洗浄装置」等の商品上に使用されていると認識している。カーナースサービスは、自分の商標として生産及び洗車機の販売という行為を以って、権利侵害行為を構成していると考える。

 カーナース管理の王福全代表は、以下のように述べた。「卡楽仕」商標は、米国グロスボス社が2009年に出願し、2011年1月に工商総局商標局に認可され、第7類商標と認定され、その主な使用範囲は、研磨機器及び設備、塗装機、車両洗浄装置、電動ワックス機及び設備等であり、使用有効期限は、2021年1月6日迄となっている。

 しかし、2011年以降、カーナースサービスは、「カーナース」ブランドの名義で自動車洗車機を生産し、なお且つ全国各地で広く販売してきた。市場に権利侵害状況のあることを発見した後、米国グロスボス社は権利維持のため、2012年3月26日に登録番号7395843の「卡楽仕」という中国語商標を独占許可という方法で、カーナース管理へ中国域内において商標の維持保護を行う権限を委譲した。この時点から、カーナース管理は、登録番号7395843の「卡楽仕」商標の中国における独占許可使用者となった。現在、カーナース管理傘下の「卡楽仕」洗車機は、既にマーケットにて高い知名度を有しており、陝西西安、江蘇連雲港及び吉林省に生産拠点及び販売センターを立ち上げ、商品を全国に発送し、高い市場影響力を備えている。

 但し、洗車類別において「卡楽仕」商標を取得していないカーナースサービス傘下の「卡楽仕洗車機」も大々的な広報活動を行っている。バイドゥ、グーグル等の検索エンジンに「卡楽仕」という3文字を入力すれば、基本的にカーナースサービスのウェブサイトが検索される。しかし、当案が訴訟プロセスに進んだ後、カーナースサービスは、密かにマークを変更した。カーナースサービスのオフィシャルサイトでは、これまでの「カーナース洗車機」という商号は、既に全てカーナースサービスが新たに発表した「CNS洗車機」ブランドへ変更された。

 但し今年7月、当該ウェブサイトにて紹介された商品及び成功ケースにおいては、ハッキリと「卡楽仕」の3文字が示されており、なお且つカーナース管理の登録商標の文字の内容、発音と完全に同じだった。当時、カーナースサービスが既にオフィシャルサイト上の一部の広報ページにおいて、洗車機のマークを「CNS」に更新していたものの、オフィシャルサイトの「成功ケース」の欄の中の多くのカーナース洗車機の経営者図の上、洗車機の上には、相変わらず大きな「卡楽仕」マークがあしらわれている。

 法廷審理の際、カーナース管理の代理人は、マーク更新行為について疑問を呈し、なお且つカーナース管理が提供した証拠の中で、カーナースサービスのオフィシャルサイト上の洗車機の販売例の図面には、全て「卡楽仕」マークがあしらわれているものの、カーナースサービスが提供した同様のケースの中に、洗車機図上には「CNS」マークがあしらわれていることを指摘した。同一の証拠であるにもかかわらず、どうしてマークが異なっているのかという疑問を感じている。この点について、カーナースサービスは、当該マークが訴訟プロセスが始まった後に更新したことを認めた。それ迄の販売案の洗車機図上の「卡楽仕」屋号を、全て「CNS」屋号に更新した。 

ブランドか屋号か
 
実際には、カーナースサービス及び関連会社も一部の類別上でカーナース商標を登録していた。但し、主な適用範囲は、クリーニング用品、化粧品及び自動車洗浄サービス等であり、洗車機項目は含まれていない。

 今回の法廷審理の中で、カーナースサービスの代理人は、カーナースサービスは、自動車洗浄、自動車美容、サービス等のチェーン業務に加盟する企業であり、洗車機を生産したことも、販売したこともないと強調した。そのウェブサイト上に広告が掲載されている洗車機商品は、その関連会社である「山西卡楽仕汽車服務有限公司」(以下「山西カーナース」という。)が生産及び販売、使用しているのは、「ノボランド」商標であり、洗車機上のカーナースという文字は、山西カーナースの屋号であり、商標ではない。

 案件審理の際、カーナースサービス側は、自分は自動車美容加盟チェーン業務に従事しているだけで、洗車機を生産しているのではなく、ノボランドグループ傘下の洗車機商品の生産及び販売している主体は、山西カーナースであると何度も述べている。但し、裁判所の斡旋を経て、元々ノボランドグループを第二被告に列挙していた本案は、依然としてカーナースサービスを被告として立件され、審理が行われている。

 カーナース管理の代理人は、この点についてカーナースサービスは洗車機商品上に直接「卡楽仕」と命名しており、市場に齎す影響は、簡単な「屋号」を超えるものと解釈できると考えている。

 隆安法律事務所のパートナー会議主任、中国人民大学律師学院の徐家力副院長は、この案が法的プロセスに入った後、カーナースサービスは、洗車機商品及び広告図上のマークを交換した。このことは、自己が当該中国語商標を使用する過程で不適当な行為があったことについて、一定の認識があったことを示すものだと述べた。「ある意味から言って、先ず是正したという行為が、使用している文字が屋号であり商標ではないと表明したとしても、権利侵害を構成するか否かは、最終的に裁判所が確認することである。すでに交換したとしても、裁判所が関連事実を確認した場合、商標専用権侵害という行為を無かったことにはできない。」と徐家力副院長は話す。 

権利侵害を構成するか
 カーナースサービスは、その関連会社が生産及び販売する洗車機この前に「卡楽仕」という文字があしらわれていたとしても、商標ではなく、屋号であり、なお且つカーナース管理の商標が公示される前に洗車機のマークを全て「CNS」に交換したため、カーナースサービスには権利侵害行為は存在せず、その関連会社も不合理にカーナースマークを使用したわけではないと考える。

 但し、カーナース管理は、自ら提供した1部の証拠には、カーナースサービスが広告に使用した図面上に注記した文字「卡楽仕北京汽車生活空間服務機構」という文字の傍らに、登録商標マークである「®」が付されており、これは、商標として広告を行ったものであり、屋号ではなかったことを充分に証明するものと考える。

 このほか、カーナース管理の代理人は、カーナースサービスでは、洗車機商品の広告において、何度も「高品質のカーナースブランドを普及させる。」という文字が出てきており、カーナース管理が提出した証拠の中のカーナースサービスの加盟店の中の洗車機上にハッキリと「卡楽仕」と表記され、なお且つ登録商標マーク「®」が付されており、このことは、ブランドとして「卡楽仕洗車機」を宣伝していたことを証明するものであり、簡単な屋号ではないと述べた。

 カーナースサービスの代理人はこれに答え、証拠図面の解像度は高くなく、文字傍らの字母が商標標識の「®」か否かを判別するのは難しく、更に確認する必要があると述べた。「ブランド」という2文字の描写について、当該代理人は、カーナースサービスは、第37類のカーナース商標を保有しているため、従事している加盟チェーンもクリーニングサービスであり、顧客へクリーニングサービスを提供する際にカーナースマークを使用できると述べた。

 法廷審理の際、カーナースサービスの代理人は、カーナースサービスの関連会社が生産し、販売しているのは「CNS洗車機」であり、「カーナース洗車機」では無いことを何度も強調した。これについて、カーナース管理は、証拠や、カーナースサービスのウェブサイト上の広告からわかる通り、「CNS」ブランドは、2012年5月18日になって漸く発表されたものであり、カーナースサービス又は関連会社は2010年12月17日に全自動コンピュータ洗車機商品を発表した。カーナース管理及びカーナースサービスが提出した一部の証拠が示すとおり、「卡楽仕」洗車機の販売ケースが発生した日はいずれも2011年1月7日(即ちカーナース管理の7395843の「卡楽仕」中国語商標の権限委譲)以降であり、カーナースサービスが生産した「卡楽仕」という文字のあしらわれた洗車機は、カーナース管理の商標が公告される前という言い分には、証拠が無いものと考えている。

 「『CNS』ブランドが発表される1年も前に、『CNS』洗車機を生産できるでしょうか。それに、生産し、販売しているのは『CNS』洗車機であると一貫して主張していながら、訴訟前の成功ケースの中には1つも『CNS』洗車機の成功ケースがない。」カーナース管理の代理人はこのような疑問を述べた。

(法制ネットより)

作成日:2012年11月15日