法律相談Q&A

医療期間満了後の労働契約の解除について

Q:当社は、2011年8月1日に大学を卒業したばかりの者を採用いたしました。入社時の健康診断では異常はなかったものの、2012年2月1日から3月20日まで病気休暇を取得し、治療を終えて健康を回復してから職場に復帰しました。しかし2012年6月10日に会社へ再び病気休暇を申請し、病気休暇に入り、現在も病気が治癒しておらず、何時出社できるかも定かではありません。当該従業員が治療期間を期限無く延長し続けた場合、会社は、一方的に労働契約を解除することが可能でしょうか?

A:『労働契約法』第42条に基づけば、「従業員が病気治療のために規定の医療期間にある場合、企業は『業務を全うできない』等の理由で、当該従業員との労働契約を解除してはならない。」と規定されています。しかし、当該従業員の貴社における勤続年数は短く、『企業従業員の罹患又は業務に因らない負傷における医療期間についての規定』第3条及び第4条の規定に基づけば、当該従業員の医療期間は3ヶ月であるため、連続した6ヶ月間における病気休暇の累計期間が3ヶ月以上に達した時点で、医療期間は満了するものと思量いたします。
このため、当該従業員が医療期間を満了した後、必要なプロセスを踏まえた上で貴社は、当該従業員との労働契約の解除することが可能であると思われます。その場合、実務上の取り扱いでの3つのポイントについて、以下の通り説明いたします。

1.『労働契約法』第40条に基づけば、医療期間満了後、当該従業員が元の業務に従事することができず、貴社が別途手配した業務にも従事することができない場合、貴社は30日前までに書面により当該従業員に通知すれば、一方的に労働契約を解除することが可能と規定されています。(また、1ヶ月分の賃金を余分に支給すれば、直ちに労働契約を解除することも可能です。)但し、当該従業員が元の業務に従事することができず、貴社が別途手配した業務にも従事することができないことを証明するのは、極めて困難な事柄です。また、以下の問題についてもご留意いただきたいと思います。
(1)病気に罹患したから必ず元の業務に適応しないとは限らないこと。
(2)如何に「別途手配」の業務を決定するかということ。
従いまして、実務上の取り扱いでは往々にして多くの紛争が発生しています。

2.『労働契約の違反及び解除にかかる経済補償弁法』第6条及び『企業従業員の罹患又は業務に因らない負傷における医療期間についての規定』第7条の規定に基づいて、当該従業員の医療期間が満了した後、貴社は速やかに現地の労働行政機関に「労働能力鑑定申請書」を提出することをお勧めいたします。

3.医療期間満了後に労働契約を解除した場合、貴社は『労働契約法』第47条に基づいて当該従業員に経済補償金(勤続年数1年ごとに1ヶ月分の賃金を支給、勤続年数が6ヶ月に満たない場合、半月分の賃金を支給。)を支給するほかに、『労働契約の違反及び解除にかかる経済補償弁法』第6条に基づいて、医療補助金(支給基準は6ヶ月の賃金を下回らない額、と規定されています。)を支給する必要があります。

作成日:2012年08月25日