大連地区等における賃金団体交渉がホワイトカラー従業員にも
25省区市において労働協約に関する地方法規が公布される
従業員にとって賃金の団体交渉は、自らの利益に密接に関わる問題であるため、より具体的な事柄を知りたいというのが一致した願いである。遼寧省大連市高新区のソフトウェア業界にとって有史以来の賃金団体交渉を順調に進めるため、2011年8月から、大連市総工会の指導の下、高新区総工会は9ヶ月近くの協議、意思疎通、調査研究及び準備作業を行った。そして4月、大連市高新区ソフトウェア業界の企業側代表11名と従業員側代表11名が遂に話し合いの席についた。
従業員に賃金については、経営者と平等な交渉を行うことができるのだという考え方を培う
今回の団体交渉は、4時間の長さに及び、極めて有意義な交渉でもあった。これによって賃金問題に統一的な制度基準が設けられただけではなく、より重要な点として、ソフトウェア業界が賃金団体交渉における第一歩を踏み出したということである。従業員側の徐世輝首席代表は、「従業員に賃金は「投資した者が、管理する権利を有し、投資者の一存で一方的に決めることができる」ものではないことを理解させ、従業員に賃金について経営者と平等に交渉し、民主的に共同で決めるものだという考え方をもたせることができたことが、今回の会議における最大の収穫」と話した。
その後開催された大連市高新区ソフトウェア業界第1回従業員代表大会の席上、交渉に基づいて「大連高新区ソフトウェア業界賃金特定項目労働協約」が高い得票にて可決され、企業側の首席代表と従業員側の首席代表は、この中国ソフトウェア業界初の賃金労働協約上へ共に署名した。
関係者からの情報によれば、この契約は大連市高新区ソフトウェア業界の500社余りの企業、10万名近い従業員をカバーするとのことである。当該協約により、大連市高新区ソフトウェア業界のプログラム設計、ソフトウェアの検査、プロジェクト建設及びマネジメント等10種類の業種における最低賃金基準及び出来高払賃金のノルマ基準が定められ、大連市政府の定めた同期の最低賃金基準より64%から177%、賃金が引き上げられた。
労働協約の締結は、大連市の高新区ソフトウェア業界には小規模企業が多く、従業員の流動性が高いため、企業ごとに賃金の団体交渉を行うことが困難であるという問題を有効に解決し、従業員の利益を訴えを示すルートを拡げ、ソフトウェア業界の健全なる発展を促し、従業員の合法的な権利及び利益を維持・保護し、円満な労使関係を構築するために、積極的な役割を発揮することとなる。
業界ごとの賃金集団交渉が全面的に展開されることに
2011年12月23日、大連市機械業界の従業員代表162名が、大連市機械業界第一回従業員代表大会に参加した。これも、遼寧省で初めて開催された市レベルの業界従業員代表大会であった。この会議で遼寧省初めての市レベル業界賃金労働協約である「大連市機械業界賃金特定項目労働協約」が締結された。関係者からの情報によれば、この契約は、遼寧省の市レベルにおける業界の賃金団体交渉の前例を打ち立てた。機械業界の16種類の技術職のブルーカラー従業員数万名の労働及び経済的権利及び利益に有益な試みが行われた。
僅か5ヵ月後に、「大連高新区ソフトウェア業界賃金特定項目労働協約」は締結され、業界賃金団体交渉は、ソフトウェア業界における「高学歴、高潜在能力、高技能」のホワイトカラー従業員集団へと進出した。大連市は、高新技術産業が展開する業界賃金団体交渉への新たな探索及び新たな実践の中で成果を納めた。
情報によれば、2011年末時点で、全国各地で賃金労働協約は174.2万の企業をカバーしたとのことであり、これは前年度比で56.1%の伸びで、10,389.2万人の従業員をカバーし、前年度比で37.3%の伸びであった。1年余りの年月を経て、業界の賃金団体交渉は全面的に展開され、発展が加速され、そのメリットが絶えず現れることとなった。交渉が業界をカバーする範囲は絶えず拡大してゆき、以前は主に飲食サービス業、石炭採掘業、金属建材業等の労働集約型業界に集中していたものが、現在では機械製造業、ハイエンドサービス業等に拡大し、これと同時に、中国の産業構造の調整及び高度な経済成長に伴い、ホワイトカラーが集まるハイテク業界も、その中に組み込まれていくこととなった。
業界の賃金団体交渉業務は、各地の各クラスの労働組合が推進する中で、迅速に発展していくという良好な形勢を示し、明らかな効果を挙げた。第一は、「企業の発展を促し、従業員の権利及び利益を保護する」という原則を更に高いレベル、更に広い範囲で着実に実行することを力強く推進した。第二は、賃金団体交渉を推進する上での一連の難問を有効に解決した。第三はエリア、業界、企業等異なるレベルでの交渉が相互にリンクするワンセットのシステムの整備を促進した。
地方の団体交渉の立法化が迅速に進められている
社会各界の賃金団体交渉に対する認識を高め、よりよい法環境を整備するため、遼寧省及び大連市は、それぞれ政令という形で「遼寧省企業賃金団体交渉規定」と「大連市賃金団体交渉規定」を公布した。大連市委員会市政府弁公室は『賃金労働協約を全面的に推進する業務に関する意見』を公布した。大連市の7政府機関は共同で『業界ごとの賃金団体交渉を全力で推進することに関する実施意見』を公布した。
「この一連の規定の公布は、大連市の賃金団体交渉に対し積極的な作用を齎すが、現在の賃金団体交渉に存在している問題及び困難を解決するには、賃金団体交渉を絶え間なき発展を促し、その根本となる立法を促すことが重要である。」と関係者は指摘する。
現在、労働法、労働組合法、労働契約法及び地方の人民代表大会が公布した労働協約条例又は賃金団体交渉条例は、賃金団体交渉を推進する主要な法的根拠である。ここ1年、地方における賃金団体交渉の立法化が高まり、前代未聞のスピードで発展した。湖南省、甘粛省、新疆ウイグル自治区及び、江蘇省無錫市、新疆疆ウイグル自治区ウルムチ市の人民代表大会は、賃金団体交渉条例や、労働協約条例を相次いで公布した。各地の各クラスの労働組合が推進する中で、山西省、内モンゴル自治区、江西省、河南省、広東省、広西省、重慶市、雲南省等で、人民代表大会常務委員会は、賃金団体交渉の立法化や、労働協議条例の改訂業務を2011年又は2012年の立法計画に組み入れた。その一部は既に人民代表大会常務委員会の第一回審議を通過し、最も早ければ2012年の上半期に公布される予定である。北京市、湖北省等の地区では積極的に立法にかかる調査研究作業、人民代表大会の関連する立法作業や改訂作業が展開されている。
現在までのところ、全国25の省(区、市)で労働協約にかかる地方法規が公布された。省レベルから見ただけでも、全国31の省(区、市)の約半数近くの地域で立法を推進する具体な動きが見られる。
(法制日報より)
作成日:2012年05月08日