法律相談Q&A

異なる場所での同一社名の使用について

Q:当社は、商品輸出入に従事している商事会社です。保税区に会社所在地の登録登記をしています。しかし、業務の便宜を図るため、市内に事務所を借りて業務を行う予定です。市内及び保税区の2ヶ所とも同じ会社表札(つまり同一の会社名を使用します)を使用したいのですが、法的に問題はないでしょうか。

A:『会社法』及び『会社登記管理条例』第12条「会社の所在地は、会社の主な事務取扱機構の所在地とする。会社の登記機関を通じて登記することが可能な所在地は1ヶ所のみである。会社の所在地は、その会社の登記機関の管轄区内でなければならない。」という規定に基づけば、会社所在地の登録は、会社が設立される際の法定登記事項の1つであり、会社登記機関を通じて登記することが可能な所在地は1ヶ所のみとされています。なお且つ、会社の所在地は、その会社の登記機関の管轄区内に存在する必要があります。つまり、1社につき1つの所在地(業務に従事する場所)のみが認められていることから、貴社が市内及び保税区の2ヶ所で同時に業務を行い、なお且つ同じ名前の会社表札を使用することを希望する場合、上記の法律規定に違反したと見なされ、工商機関より期限付きの改善、罰金等の処分を受けるリスクが存在します。

貴社が2ヶ所で業務を行うことを希望する場合、主に以下の2種類の方法があります。
1.国家工商総局の『外商投資の会社の登記の審査・認可管理について法律を適用することに係る若干の問題に関する執行意見』の通知第2条の関連規定に基づけば、貴社は、所在地(保税区)のほかに事務所を設立することが可能です(市内)。事務所を設立する場合、そのメリットとデメリットは、以下の通りとなります。
(1)事務所を設立するメリットは、商務部門、工商部門へ出頭して審査・認可・登記手続きを行う必要が無く、設立手続きが簡単ということです。
(2)事務所を設立する最大のデメリットは、事務所では経営活動を行うことは許可されておらず、業務連絡等の非経営活動を行うことしかできないとされている点です。
2.『会社法』等の規定に基づけば、貴社は関連書類を準備し、工商行政機関にて支社設立の申請を行うことが可能です。支社の場合、本社の経営範囲内にて、経営活動を行うことが可能です。

作成日:2012年01月18日