中国ECサイトのアフターサービス新規定 ―「返品なしの返金」の撤廃
中国国家市場監督総局は、2025年の「两会」において返品制度の乱用を問題視し、「売り手に不公平な負担を課している」と指摘しました。これを受け、4月22日に淘宝、拼多多、京東、TikTok、快手などのECプラットフォームが相次いでアフターサービス規定の変更を発表し、プラットフォームが従来実施していた「返品なしの返金」規定は撤廃されました。新しい規定では、消費者からの「返品なしの返金」の要求に対してプラットフォームは直接関与せず、販売者と消費者の間での自主的な協議による解決が基本原則となります。以下に、今回の改正の背景と日系企業へのアドバイスを簡潔に解説いたします。
1.改正の背景
(1)悪質な返金要求の横行
悪意のある一部の消費者が「返品なしの返金」規定の隙間を利用し、商品に欠陥があると偽って不当な返金要求を大量に行うことで、販売者が「金銭も商品も失う」という状況を引き起こしていました。
(2)苦情の急増
電訴宝のデータによると、2024年の双11期間中、「返品なしの返金」に関連する苦情が全体の60%以上に急増し、プラットフォームでの正常な取引に深刻な影響を与えていました。
(3)「低価格→低品質→苦情の増加→さらなる返金請求」の悪循環
販売者が陥りやすい悪循環として、一部の販売者が「返品なしの返金」による損失を補填するために商品の低価格化を進めたことで商品の品質が低下し、その結果、「低価格→低品質→苦情の増加→さらなる返金請求」となるケースが指摘されています。この悪循環は、最終的にはプラットフォーム全体の健全な発展を阻害する要因となっていました。
2.日系企業へのアドバイス
日本や中国のECプラットフォームで商品を販売している日経企業は、今回改正された規定を十分に理解した上で、自社の運営戦略やアフターサービス方針を適時調整することが求められます。
作成日:2025年04月29日