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山東省における婚姻休暇の新規定

   2025年1月18日、山東省第14期人民代表大会常務委員会第13回会議において、『山東省人民代表大会常務委員会「山東省人口・計画出産条例」の改正に関する決定』(以下、『決定』という。)が可決され、『山東省人口・計画出産条例』が改正されました。
   この『決定』では、主に会社員の婚姻休暇に関わる条項が改正されており、日系企業各社の従業員の休暇や出勤管理などにも重大な影響を与えます。そこで今回は、各企業の人事や総務の担当者の皆様にご参考いただけるよう、『決定』の改正ポイントを以下に要約いたします。

1.婚姻休暇が最長18日に延長
   『決定』には、これまでの『山東省人口・計画出産条例』には含まれていなかった婚姻休暇に関する条項が追加され、山東省の婚姻休暇日数は、国が法で定める3日間から最長18日間に延長されました。法定通りに婚姻登記した公民は15日間の婚姻休暇を享受でき、婚姻前医学検査を受ける場合は、さらに3日間の婚姻休暇を享受できるとしました。
   この15日間の婚姻休暇は、初婚の場合だけではなく、再婚や復縁による婚姻時にも享受できるものであるという点は注目に値します。但し、同一年内に婚姻、離婚、再婚があった従業員が婚姻休暇を重複して享受できるかどうかについては、さらなる検討が必要なる可能性があります。

2.婚姻休暇などに伴うその他の注意点
   2025年1月21日に、山東省衛生健康委員会は『「山東省人口・計画出産条例」実施における休暇規定の適用問題に関する指導意見』(以下、『指導意見』という。)を発表しており、その中にも企業及び従業員が注目すべき婚姻休暇、育児休暇、出産付添い休暇、介護休暇などの休暇に関係するいくつかの条項が含まれています。
(1)法定祝日、休日は婚姻休暇期間に算入しない。
(2)婚姻休暇の休暇方式の変化。『決定』施行後、婚姻休暇は一度に取得することも分けて取得することもできる。通常は婚姻登記日から一年以内に消化しなければならない。
   従業員が婚姻休暇を一度に取得せず、一日ずつ、或いは何日かに分けて取得するケースについて、実務上、企業がどのように対応するかについては、現地弁護士等と連絡を取り、ケースごとに検討することが望ましい。
(3)婚姻休暇、出産休暇、育児休暇、介護休暇期間中、企業は従業員に通常賃金及び福利厚生待遇を支給しなければならない。
(4)『指導意見』では以下の問題についても規定されている。
①満3歳以下の子供が2人以上いる場合は育児休暇を重複して取得できるかどうか、育児休暇の取り方、次年度への繰り越しの可否。
②配偶者の両親が病気で入院した場合、本人が介護休暇を享受できるかどうか、また、どのように休暇を取得できるか。  (5)就業規則等の見直しを検討する。
   近年、中国では複数の法令が改正又は新設されていますが、一部企業で新法に合わせた就業規則の条項の見直しが行われていないことが、今後の企業管理に影響を及ぼし、労働争議発生時に就業規則が疑問視されるなどのリスクの原因になる恐れがあります。そのため、各企業は最新法規に沿った就業規則の見直しを検討する必要があります。

◆日系企業へのアドバイス
(1)従業員の休暇に関連する法律法規の改正に合わせ、企業は早期に弁護士に確認を取り、最新の法規要求に応じて従業員の婚姻休暇、育児休暇、出産休暇、介護休暇などの休暇制度に対し総合的な制度構築と、就業規則や労働契約への反映を行う必要があります。また、関連制度を改正する際には、労働組合との民主的手続きを履行し、従業員に公示することにより、法的効力を持たせることができます。
(2)実務においては、休暇申請する際に従業員が提出する休暇関連の各種証明資料にも留意し、自社の生産経営計画に沿う方法で従業員の休暇を合理的に手配、調整する必要があります。

作成日:2025年03月14日