コロナ及びその他のホットな話題

朗報:食品分野における新たな不罰・免罰リストの追加 -NEW-

   企業や社会一般から広く関心を集めていた「軽微な違反に対する過度な処罰」や「類似案件における異なる処罰」の問題を解決するため、2025年2月7日、中国国家市場監督管理総局は 『市場監督行政違法行為の初回違反不罰リスト(一)』(以下「初回不罰リスト」という。)および 『市場監督軽微行政違法行為免罰リスト(一)』(以下「軽微免罰リスト」という。)を発表しました。
   これらのリストは、食品の生産・販売に携わる日系企業にとっては朗報と言える内容ですので、本稿ではリストの要点について簡潔にまとめます。

1.初回違反が処罰の対象とならない8つの行為
   実務においては、過失や不注意により食品安全に関する法規に違反する場合があります。「初回違反不罰リスト」では、経営環境の最適化や企業負担の軽減を目的として、初回違反に対して罰則が適用されない8つの食品安全違反行為を挙げています。
1.許可なく量り売り食品を販売する(ただし、調理済み食品の販売は除く)。
2.食品販売許可の有効期限が切れたが、更新手続きを行っていない。
3.食品販売許可に関する許可事項が変更されたが、変更申請をしていない。
4.基準に適合しない食用農産物を販売する。
5.賞味期限切れの食品や食品添加物を販売する。
6.国家基準に適合しない包装済み食品を販売する。
7.食品監督検査で国家衛生基準に適合しない製品が発見された。
8.特殊食品と一般食品または医薬品を混在させて販売する。

   「初回違反」と認定されるのは、法律、規制、規則などに初めて違反した場合だけではありません。同一企業が2年以内に同種の法律などに違反していなかった場合も、「初回違反」として認定されます。
   また、上記の違反行為であればすべてが不罰となるわけではありません。「初回違反不罰リスト」には、各違反行為に対する適用条件が詳細に定められており、その行為が不罰対象となるためには、該当するすべての条件を満たしている必要があります。

2.軽微な違反として罰則が免除される4つの行為
   「軽微違反免罰リスト」では、以下の4つの軽微な食品安全違反行為について、罰則が免除される場合があると定められています。
1.基準に適合しない食用農産物を販売する。
2.賞味期限を過ぎた食品や食品添加物を販売する。
3.食品ラベルが国家規定に適合していない。
4.特殊食品と一般食品または医薬品を混在させて販売する。

   上記の4つの行為について罰則が免除されるためには、仕入れの出所を事実通りに説明できることと、直ちに自主改善または命じられた期間内に改善を完了するという2つの条件があります。

◆日系企業への留意点
   この2つの「リスト」は、食品分野のより良い生産・販売環境の構築を目的としています。企業が罰則の減免を受けるためには遵法精神が重要であり、法を遵守することによって「違反コスト」を削減することが可能になります。
   食品安全の分野では、上述の違反行為だけが不罰や免罰の対象になるわけではありません。各地域の市場監督機関は、地域の状況に合わせて当該リストの追加や、不罰・免罰条件の緩和を行う可能性があります。各日系企業は、現地の市場監督機関が発表する不罰・免罰及び減罰リストを定期的にチェックし、正しく活用することが重要です。
   さらに、企業が罰則を免除された場合は、次の点に留意する必要があります。
① 法律に基づいて、消費者に対して損害賠償を行う。
② 法律に基づいて、回収義務を履行し、不正な製品を無害化または廃棄するなどの措置を講じ、再び市場に流入することを防ぐ。
   企業の名誉や信用を守るためには、積極的に適切な対策を講じて消費者との関係を適切に処理し、ネットメディアなどによる悪意ある報道を避けることが重要となります。

作成日:2025年02月17日