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2025年の企業の贈収賄への紀律検査・監察の強化について -NEW-

   2025年1月6日から8日にかけて、中国共産党第20期中央紀律検査委員会第4回全体会議が北京にて開催されました。この会議では、2024年の紀律検査・監察業務への総括が行われ、同時に2025年の紀律検査・監察の業務が割り当てられました。本会議の内容は、日系企業を含む内資・外資企業の経営管理に大きな影響を与えることが予想されますので、要点を簡潔に解説いたします。

1.金融、国有企業、医薬品等の分野における賄賂に対する紀律検査・監察の強化
   昨年の反腐敗監察が金融、国有企業、エネルギー、タバコ、医薬品、スポーツ、インフラ工事及び入札における賄賂を対象としていたのに対し、2025年の紀律検査・監察では、消防、高等教育、開発区における反腐敗監察が新設されました。これらの分野に関連する業務を行う会社(国有企業や民間企業だけでなく外資企業も紀律検査・監察の対象)は、今後、各種会計監査や詳細な検査を受ける可能性があるため、一部の企業や管理職が調査や処分を受ける可能性は否定できません。

2.贈賄者に対する監督管理及び処罰が厳格化される可能性
   2025年の紀律検査・監察では、贈賄者に対する取り締まりと、国境を越えた腐敗に対するガバナンスを強化しており、中国政府は今後も贈賄者に対する共同処罰制度を整備していくと思われます。
   また、2025年は企業の腐敗及び主要幹部の家族への「ビジネスにおける早期警告システム」による反腐敗監察が強化されますが、これは反腐敗を表面的に調査するだけではなく、ビッグデータによるモニタリングや部門間の連携などの多様な方法を構築することにより、商業賄賂や腐敗行為への監察及び調査処罰を強化する可能性があることを意味します。

◇日系企業へのアドバイス
   2025年の紀律検査・監察の強化は、金融、医薬品、エネルギー等の分野またはこれらの分野の企業と取引のある日系企業にとってチャンスでもあり、試練でもあります。各日系企業は、中国市場の監督管理環境の変化に適応し、自社のコンプライアンス体制の構築及び従業員の商業賄賂に対するコンプライアンス意識の向上により、中国での経営活動が関連法の要求を満たすよう保証する必要があります。
   また、市場戦略及び業務の割り当てを適時に調整できるよう、現地の政府及び監督管理機関との意思疎通及び連携を強化し、政策動向と市場の変化を理解する必要があります。紀律検査・監察に関する調査または法律問題に対応する際は、適切な対応策を策定して処罰を軽減または免除できるよう、現地の弁護士とコミュニケーションを取ることをお勧めします。

作成日:2025年01月21日