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転勤、転職、帰国時に外国籍者が就労許可証の抹消をしない場合のリスク

   外国籍の駐在員が中国での任期を終えて帰任する際、または転勤、転職で他の地域や職場に配属される際、既存の就労許可証や居留許可証の抹消を忘れる、あるいは怠るケースが少なくありません。任期を終えて帰国する際、就労許可証や居留許可証などの証明書を抹消していなかった場合には、どのようなリスクがあるのでしょうか。今回はご参考いただけるポイントを簡単に紹介いたします。

1.企業や個人が責任を問われる可能性がある
   『外国人在中国就業管理規定』第20条および『外国人来華就労許可サービスガイドライン(暫定)』第8条の規定によれば、外国人従業員が中国国内の企業との労働関係を解除した場合、企業は10営業日以内に外国人従業員の外国人就労許可証の抹消手続きを行う必要があり、またその出国手続き(居留許可証の抹消手続きを含む)に協力しなければなりません。
   出国時に就労許可証と居留許可証の抹消手続きをしていなかった場合、当該外国人従業員とその雇用主は法的責任を問われる可能性があります。

2.企業が連帯責任を負う可能性がある
   外国籍駐在員が帰任したにもかかわらず、会社側が就労許可証や居留許可証の抹消手続きをしていない場合、対外的に依然その企業の従業員と見なされ、人身事故または後任の駐在員の就労許可がスムーズに発行されない場合には、企業が連帯責任を負う可能性があります。

3.養老保険口座と医療保険口座の個人部分の払い戻しに影響を及ぼす
   中国の法律法規によると、外国籍駐在員が出国前に養老保険口座払い戻しや医療保険個人口座の費用処理を行う場合、通常は事前に就労許可証抹消証明書を提出する必要があります。そのため、就労許可証が抹消されていない場合は、養老保険口座と医療保険の個人口座にある費用の処理がスムーズにできない場合もあります。

4.中国の他の職場や地域への就業が不法就業となる可能性がある
   『外国人在中国就業管理規定』第23条には、「外国人が中国で就業する雇用主は、就労許可証に記載されている雇用主と一致していなければならない」と規定されています。そのため、以前の就労許可証や居留許可証を抹消していない場合は、新しい職場名義での就労許可証や居留許可証の手続きを進めることはでません。また、手続きが完了していない状態で他の地域や新しい職場に就職した場合、不法就労と認定される可能性もあるかと思います。
   もし不法就労と認定された場合、当該外国籍駐在員には罰金などが科せられる可能性があります。また企業が外国人を不法に採用していたと認定された場合は、企業に対する行政罰または罰金や違法所得の没収処分を受ける可能性も否めません。

◆日系企業及び外国籍駐在員へのアドバイス
   駐在員の赴任や帰任、あるいは中国の別の地域にある子会社への赴任などの異動がある場合は、就労許可証および居留許可証の申請や抹消手続きなどに十分注意されると良いでしょう。

作成日:2024年10月29日