WeChat Pay (微信支付)、Alipay(支付宝)の限度額などの緩和措置
近年中国において、Alipay(支付宝)、WeChat Pay (微信支付)などによるモバイル決済(主にインターネットとモバイル端末を利用した電子マネー決済を指す。狭義的に以下、「モバイル決済」とする)は、一般の人たちの生活に大きな利便性をもたらすものとなっています。しかし、現金決済や海外銀行系カードでの支払いを習慣としている外国人の中には、中国におけるモバイル決済の制限や不便に直面して戸惑う状況が見られています。
これに伴い、国務院情報弁公室は3月1日に国務院定例説明会を開催し、中国を訪問する外国籍人員(中国駐在員、出張者、留学生・旅行者、出向者等を含む)の中国でのモバイル決済問題を解決するための一連の便宜措置を提案しました。中国に駐在する日系企業のスタッフや出張者、出向者の皆様にご参考いただくため、以下、簡単にご紹介いたします。
1. 中国におけるモバイル決済制限による問題点
駐在員が中国でモバイル決済を利用する際、その制限によって直面する主な問題点には、以下のような状況が挙げられます。
(1)支払いアプリと海外銀行系カードの紐付けがサポートされていない。
(2)身分証認証手続きが非常に煩雑で、操作中支障があると操作が完了できない。
(3)支払い限度額が制限されている。
2. 最新措置による取引額と利便性の向上
上記の問題点を解決するため、中国政府当局は、今回、主に以下のような一連の便宜措置を提出しました。
(1)訪中外国人のモバイル決済において海外の銀行系カードとの紐付けが困難であるという問題に対し、Alipay、WeChat Payなどの支払い設定で海外の銀行系カードとの紐付けを許可し、各種カードとの紐付け効率を高めるよう指導する。
(2)Alipay、WeChat Payなどの身分証認証手続きを簡略化する。例えば、セキュリティ認証には国際クレジットカードの利用が追加され、Alipayでは累計購入額が3,500人民元未満である場合、身分証認証手続きを不要とする簡易支払いプロセスが導入された。
(3)中国人民銀行は決済制限の問題に対応するため、訪中外国人がモバイル決済を利用する際の1回の取引限度額を1,000USドルから5,000USドルに、また年間の累積取引限度額を10,000USドルから50,000USドルに引き上げるよう主要決済機関に指示した。
◆ 邦人の皆様へのアドバイス
外国籍駐在員、出張者、または留学生、旅行者、出向者が直面する決済に関わる問題は、ビジネス、金融、文化、交通、外事など多くの分野に関連するため、この措置が実施されることにより、訪中外国人の決済利便性が向上し、日常の業務、生活両面において非常に便利になります。今後、中国人民銀行はAlipay、WeChat Payなどの支払いシステム機関、及び発展改革委員会、交通運輸部、商務部、国家外貨局などの関係部門と連携し、業務措置の細分化を進めることから、弊所は引き続き関係政策の動態に注目し、タイムリーに最新情報を皆様と共有します。
作成日:2024年03月13日