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行政罰金項目が一部廃止に

   企業が経営の過程で政府当局から様々な罰金や制裁金を科されることは珍しくありません。企業の運営・商業環境の更なる最適化を図るため、2023年11月1日、国務院により『一部罰金項目の廃止・調整に関する国務院による決定』(以下『決定』と略)が公布され、調整があった『罰金項目リスト』が添付されています。この『決定』では、16項目の罰金が廃止され、17項目の罰金事項に調整が加えられました。
   今回調整があった罰金項目の中には、企業に与える影響が比較的大きなものも多数あるため、各企業の皆様にご参考いただけるよう当該『決定』の一部内容を以下に整理し、紹介したいと思います。

1. 廃止16罰金項目のうち企業への影響が大きいもの
   今回、当該『決定』により廃止となった16罰金項目のうち、日系企業に大きな影響を与えるものとして、以下が挙げられます。
①非経営性インターネット情報サービスの提供者が、要請に従って届出済み電子検証マークをそのサイトの指定されたリストの下に標示していない行為に対する「罰金」が廃止され、「国家定期特別検査」に置き換えられた。(『罰金項目リスト』第3条)
②許可を得ず、有毒物使用作業に無断従事する行為については「罰金」による処罰を廃止し、「職業病危害項目申告」または「ダブルランダム、一公開(検査対象・検査員をランダム抽出、その抽出状況・結果を社会に公開する)」などの方式で監督管理を行う。( 『罰金項目リスト』第33条)
   なお、一部の罰金項目が廃止されているものの、これは同様の行為に対して他に処罰がないことを意味するものではありません。罰金に代わる行政処罰(例えば、警告、違法所得没収など)、刑事処罰、またはその他の処罰が同じ事由に対し依然として実施されることになります。

2. ウェブサイトの届出、ニュース・出版、有毒有害作業など分野に関する17罰金項目の調整
   この『決定』の合計17罰金項目の調整において、主に「直ちに罰金を科す」という方法から、「期限を過ぎて改正しない場合罰金を科す」に変更されたものについては、企業に対し是正の機会を与えたことを意味し、是正が必要な状況例として、以下が挙げられます。
①企業サイトの届出番号の下に国務院電信主管部門の届出管理システムサイトのURLリンクがない。(『罰金項目リスト』第2条)
②職業中毒の危害が発生する可能性のある建設プロジェクトの事前評価で衛生行政部門の審査同意を得ず、無断で着工した。(『罰金項目リスト』第31条)
   ただし、これら罰金項目に対する調整は直ちに発効するものではなく、関連法規の調整・公布を待ってから実施される必要があります。

◆日本企業の皆様へのアドバイス
   実務において、政府当局が「ダブルランダム、一公開」という、検査対象・検査員をランダム抽出し、その抽出状況・結果を社会に公開する方法で企業に対する検査監督を進めるケースがありますが、この種の監督検査は日系企業にとっては複雑且つ理解しにくい点があるため、現地の日系企業は現地の弁護士と対策協議を行っておくことが必要です。企業が政府当局からの処罰対象となったり、問題を指摘されたりしないよう、弊所は中国の商慣習に基づき、企業と政府当局がしっかり交渉できるようサポートすることが可能です。

作成日:2023年12月12日