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国務院が31条の企業優遇措置を発表

   7月19日、中国共産党中央国務院は『民営経済の発展・成長促進に関する意見』(以下『意見』)を発表しました。この『意見』の中で挙げられている31の措置は、民営経済の発展と成長促進につながる、民営企業にとって大きな影響を与える措置であるといえます。
   ここでいう『民営企業』とは、国有企業や公有企業ではない企業を指しているため、広義に捉えると外資企業もこれに含まれます。そこで、今回はこの『意見』の中から、日系企業にも関係する一部の内容についてご紹介いたします。

1.雇用者と求職者を繋ぐルートを増やす
   多くの企業にとって雇用難、人材募集難は、今見られている問題の一つであり、特に一部の製造業企業では、従業員(第一線労働者、事務職)の離職率が高く、企業の生産経営面に大きな影響を与えています。そのため、どのように人材を確保し、またどのように人材を長く留まらせるかは、企業発展のために考慮すべき重要な要素となっています。
   今回発表された『意見』の中では、人材雇用の需要を保障し強化する対策として、雇用側の民間企業と求職側の労働者が情報を相互に交換できるプラットフォームを構築し、現地にある学校とも連携して、実習生を企業へ送り届けるといった対策が挙げられました。これは現地の企業にとって、雇用・人材確保に大いに役立つ対策であるといえます。(『意見』第7条)

2.優遇政策の享受方法について
   政府機関が企業に優遇政策について伝達する際、これまでの場合、企業は提出すべき書類の提出期限が迫ってから通知を受けるのが常で、企業は政府機関内部で共有閲覧する全ての資料を提出する必要があるため、企業にとって余分の労力が必要となることがありました。
   しかし、今回この『意見』では、優遇と補助金の政策においては、民間中小・零細企業自体が、「申請が免除され即享受する」ためのメカニズムを構築するよう提案しています。つまり、各企業がそのメカニズム構築の条件に沿っていれば、申告をすることなく自動的に優遇や補助金政策を享受することができるわけです。また、政府機関が内部データ共有を通じて入手できる資料については、企業に提供を求めなくなりました。(『意見』第8条)

3.法執行監督管理の基準を統一し、公開する
   レベルが異なる、または異なる分野の法執行機関が行う法執行の権限と範囲はそれぞれ異なるものの、企業は時折同じ事項で異なる部門や異なるレベルの行政部門から重複で検査を受けることがあり、こうした状況が企業の生産経営に負担となることがあり得ます。
   今回の『意見』で、法執行監督管理の基準と規則が公開され、各レベルの法執行管轄の権限、範囲、重点が明確になったことにより、企業が監督管理の規則を理解把握し、執行についてある程度予期できるようになりました。さらにこの『意見』の中では、異なる省市区(県)が統一的な法執行監督管理政策と基準を共同で公布することが奨励されています。これにより、地域によって同一の行為に対する監督管理と処罰基準が一致しないという問題を極力減らすことができるでしょう。 (『意見』第13条)

◆日本企業へのアドバイス
   この『意見』での措置の多くは原則的な表現となっており、各政策を実際に進めるには、発展改革委員会、市場監督管理部門、税務、工業・情報化部門、金融、司法機関など、多くの部門の協力が必要です。 そのため、各日系企業も現地の各政府部門が出す補助措置や実施細則を、常に注視することが大切です。適時に優遇政策からの益を受けるために、日ごろから現地政府部門との積極的なコミュニケーション交渉を図っておくことで、場合によっては、何らかの処罰の回避や軽減につながるというメリットもあるでしょう。

作成日:2023年07月28日