2023年最新国務院立法計画
中国国務院は中国の最高行政機関として、行政法規の立法権を持つだけでなく、全国人民代表大会(以下『全人大』と略称)に法律改正案を提出する提案権も持っています。6月6日、国務院は『国務院2023年度立法業務計画』(以下『国務院立法計画』と略称する)を発表しました。今回はこれについて以下に概要を紹介し、各日系企業の皆様の参考に供したいと思います。
1.全人大常務委員会に審議を求める法律案が提出される(17本)
(1)法律改正案の提案権
この種の法律議案は、一般的に国務院と国務院下に属する各部委員会が起草を担当し、国務院が全人大常務委員会に提出して審議し、最後に国家主席が主席令に署名して公布を実施するもので、その効力は国務院が制定した行政法規より高くなります。
当該法律案は、全人大常務委員会会議の審議から採決までの過程で、一般的に3回審議する必要があります。しかし、各委員の意見が一致するか、また法律改正事項が単一で簡単である場合、審議回数は2回または1回となり、採決にかかる時間も短くなります。
(2)日系企業が注目すべき法律案
本年度の立法計画で日本企業が注目すべき草案としては、『治安管理処罰法改正草案』、『関税法草案』、『エネルギー法草案』、『反マネーロンダリング法改正草案』、『保守国家秘密法改正草案』が挙げられます。
上記以外にも、全人民大常務委員会に予備的に審議を求める法律案が34本明記されており、その中でも、『消費税法草案』、『反不正競争法改正草案』、『対外貿易法改正草案』、『税収徴収管理法改正草案』、『商業銀行法改正草案』、『危険化学品安全法草案』は日本企業が注目すべき草案であるといえます。
2. 審議予定の行政法規草案(17本)
(1)行政法規案の制定権
この種の法律文書は、一般的に国務院に属する各部委員会が起草し、国務院常務会議の審議を経て、最終的に国務院総理により署名され、国務院令として公布、実施します。これらの法律文書は行政法規に属し、その効力は全人大が制定した法律より低いものです。
(2)日系企業が注視すべき行政法規
本年度の立法計画の中で、日系企業が注目すべき主なものとしては、『非銀行支払機構条例』、『経営者の集中申告基準に関する国務院の規定』、『特許法実施細則』、『社会保険取扱条例』、『生態保護補償条例』、『ネットワークデータ安全管理条例』があります。
上記のほかにも、国務院は19本の行政法規を制定、改正する予定です。このうち注視すべきものとしては、『上場企業監督管理条例』、『消費者権益保護法実施条例』、『両用品目輸出管理規制条例』、『炭素排出権取引管理暫定条例』などが挙げられます。
◆日本企業へのアドバイス
国務院による2023年度の立法業務計画は、2022年と比べて増加しており、対外交流、市場監督管理、輸出入管理、サイバーセキュリティ、人工知能、エネルギー高度化など様々な分野に及んでいます。 国務院の立法領域における焦点は、法的ルールの変更の可能性だけでなく、政府による執行という重点分野も含まれていることを踏まえ、日本企業がこれらを逐次理解し、早めに備えておくことはとても重要です。 弊所は今後もこの分野の最新動向をタイムリーに皆様と共有してまいります。
作成日:2023年07月03日