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使い捨てプラスチック製品規制管理の新たな変化

   プラスチックは、私たちの社会生産と家庭生活の中で幅広く使用されており、その使用過程においてプラスチック製品が適切に処理されず、「白色汚染」の元凶となり、自然界、天然資源、及び生態系に関わる環境に対して深刻な影響を与えてしまいます。そのようなわけで、プラスチック汚染処理対策の全ての過程において、商業界全体が担う役割は、とても重要な位置づけにあるといえます。
   2023年5月16日、商務部と発展改革委員会は『商業分野経営者による使い捨てプラスチック製品の使用と報告に関する管理弁法』(以下『管理弁法』という)を共同で公布しました。 この『管理弁法』は2023 年 6 月 20 日から施行され、同時に2020年11月30日付けで公布されていた『商業分野経営者による使い捨てプラスチック製品の使用・回収の報告に関する管理弁法(試行)』は廃止されます。今回の改正は、小売販売業、飲食業、宿泊業といった多業種に及ぶ内容であるため、関連する日系企業の参考となるポイントについて、以下に簡単に紹介したいと思います。

1.「使用」と「報告」を別の行為として区別
   この『管理弁法』では、商業分野における使い捨てプラスチック製品の使用行為と報告行為を異なる行為として区別しました。(『管理弁法』第2条、第5条)
(1)規制主体が異なる
   使用行為の規制対象となるのは、商品小売、電子商取引、飲食、宿泊、展覧の5種類の主体です。一方、報告行為の規制対象となるのは、小売場所を開設している店舗事業者(スーパーマーケット、デパートなど)、電子商取引プラットフォーム企業、デリバリー企業などの3種類の主体です。
   つまり、プラスチック製品の使用と報告に関しては、異なる対象分野の経営者に対する政府当局の要求要件がそれぞれ具体的に異なっているという点に注意が必要です。 (『管理弁法』第9条から第19条)
(2)規制されるプラスチック製品が異なる
   使用行為は非分解性使い捨てプラスチック製品を規制するものであり、報告行為は使い捨てプラスチック製品を分解性か非分解性かを区別せずに規制するものです。
   実務上で、どのプラスチック製品が非分解性であるかについては、各企業がプラスチック製品の使用禁止・制限についての国家が定める具体的な要求事項を参照することにより、正しく判断することができます。

2.処罰条項の追加
   今回の『管理弁法』には処罰条項が追加されており、経営者がプラスチック製品の使用禁止・制限に関する国家規定に違反、プラスチック製品の使用・報告に関する規定に違反した場合には、商務部門が経営者を処罰する法的根拠を有することになります。
   例えば、プラスチック製品の使用の禁止と制限に関する国家規定に違反すると、県級以上の地方商務主管部門が経営者に最高10万元の罰金を科す可能性があります。(『管理弁法』第15条)

◆日本企業へのアドバイス
   プラスチックの禁止制限についての規制は動的なものであるため、将来的に使い捨てプラスチック製品の使用要件も変更される可能性があり、また各省級の商務主管部門が地域の実情に基づいて特定の実施細則を策定する可能性があります。
   これらを考慮し、商品小売、飲食、宿泊、電子商取引、デパート、スーパーマーケット、デリバリーなどに携わる日本企業が、使い捨てプラスチック製品の使用と報告に関する現地の商務主管部門の政策と規制の動向にタイムリーに注意を払うことは、非常に重要であるといえます。生産経営にまつわる慣行において現地弁護士によるコンプライアンス評価・調整を受け、遵守するなら、政府当局からの処罰を受けかねない状況を回避し、減らすことができるでしょう。

作成日:2023年06月19日