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輸入危険化学品の監督管理に関する新たな要求

   2023年4月7日、税関総署により、「輸入危険化学品の検査・監督管理をさらに強化することに関する通知」が発布され、4月13日から実施されています。
   この通知は、輸入危険化学品(以下、危険化学品とする)の新たな検査・規制要求を定めたものですが、その具体的な変更点または新たな要件とは何でしょうか。弊所でまとめた本公告の主な変更点について以下に簡単に紹介いたしますので、関連する企業の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

1.検査モデルの新しい変化
   今回の政府当局は、全国的に危険化学品の検査場所を「通関ポート」から「通関ポートまたは目的地」に調整し、危険化学品各ロットに対して100%の検査を実行するとしています。これは、政府当局が関連する危険化学品の輸入に対し、監督管理を強化することを意味します。(『公告』第一条)
   一般的に、危険化学品の検査は、危険化学品の性質や危険物包装の種類に応じて税関総署が実施し、危険化学品の分類に応じて異なる検査方法(場所)と比率が設定されます。これについては、荷受人または通関代理人が、「中国国際貿易単一窓口」を通じて検査通知を照会し、検査通関および検査場所を確認することができます。
   但し、企業側は、輸出する危険化学品の検査場所や比率について、事前にある程度予想しておきたいため、政府当局がそれぞれの異なる危険化学品やパッケージの検査場所と比率について公表してくれることを希望しています。

2.危険化学品申告の内容と要求を細分化し列挙
   危険化学品の輸入時の荷受人または通関代理人は税関申告の際、「中国国際貿易単一窓口」に下記の内容を事実通り記載報告することに留意しましょう。
   ①貨物属性 ②検査検疫名称 ③危険類別 ④包装類別 ⑤国連危険貨物番号(UN 番号) ⑥危険貨物包装標識(包装UN標識) ⑦目的地検査検疫機関など。(『公告』第二条)
   上記の情報を申告するほか、『企業適合性声明』『中国語危険公示ラベル』『中国語安全データシート』(SDS)などの資料も提出する必要があります。
   申告時には、税関がシステム申告の情報と提出資料の完全性、一致性を重点的に審査することに特に注意しなければなりません。申告した内容が、提出する添付資料と一致しているかどうかに、常に気を配ることが大切です。
   また、「危険化学品目録」の危険化学品は列挙によって整理されていますが、危険化学品の一部が当該目録に含まれていない可能性があります。そのため、税関は通関時に企業に輸入化学品の成分情報を提供するよう求め、危険化学品に属するかどうかを判断します。但し、税関職員が、その化学品成分の化学物質名称の提示を求めず、CAS番号の提示を求める場合があります。ただ、既存の化学物質の多くにはCAS番号がないため、安全データシート(SDS)や化学物質名称を用いて確認できるようにしておくことが望ましいといえます。

◆日本企業の皆様へのアドバイス
   本公告は、2022年の上海試験地点での輸入危険化学品検査モデル改革の経験に基づいて発布されました。これにより全国各地の税関は、後続の新モデルと要求に基づいて輸入危険化学品の検査監督管理を行うことになります。但し、それぞれの省によって実際の状況も異なるため、各地域によって、実行時の書類審査、貨物検査、サンプリング検査の実施要求が異なる可能性が存在することから、今後統一的な実行基準が制定されることを期待します。輸入危険化学品の貿易、貨物輸送または通関に携わる業者は、現地税関の新政策を適時注視し、現地税関と、政策に対する正確な理解や政策の実施状況についてコミュニケーションをとることにより、申告時の不適合などの問題を回避または極力軽減することができるでしょう。
   また、危険化学品カタログに含まれる製品について、企業で事前に危険特性鑑定を行い、危険特性鑑定報告書を自主的に提供するなら、通関スピードを速めることができる可能性があります。

作成日:2023年04月26日