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中国の新たなエネルギー政策

   地球温暖化を始めとした深刻な気候変動を引き起こすCO2などの温室効果ガスの削減は、地球規模で取り組むべき喫緊の課題となっています。炭素の排出量が多い化石燃料から低炭素エネルギーへのシフトが進んでおり、太陽光、バイオマス、風力、地熱等の新エネルギーに切り替わりつつあります。
   今年3月5日に発表された『政府活動報告』、また3月25日には国家発展改革委員会、国家エネルギー局から公布された『「十四五」現代型エネルギー体系計画』でも、中国のエネルギー体系及び発展モデルのシフトチェンジ、新エネルギーの大々的な発展が提起されました。中国において政府が発展を奨励する産業、分野の範囲内で適法に経営する日系企業にとっては、企業規模の拡大にも有益で、長期的な発展の実現にもつながります。
1.企業は石炭発電等の伝統的なエネルギー消費モデルの変革を検討し、納税等の面での優遇政策適用について政府と交渉を
   政府は、各地が現地の実状に合わせて風力、太陽光、水力、バイオマス等の発電プロジェクトの建設、水素エネルギーの貯蔵技術の開発強化、石炭発電の負担割合軽減に取り組むことを奨励し、企業がエネルギー貯蔵モデルを改善することも奨励しています。
   今後各地の政府機関では、新エネルギーを利用した電力使用について納税や電気料金の納付等にかかる優遇政策が実施される可能性があるため、各日系企業では現地における電力使用の状況を考慮したうえで、石炭発電による電力等の伝統的なエネルギーの使用方式を調整するとともに、現地政府機関とも交渉することにより、納付税金の還付や税の徴収減免といった優遇政策の適用を受けることができます。
2.先進設備の段階的な導入、グリーン・スマート製造の業種・分野に向かっての発展
   近年、中国では旧式の工程、設備等や生産能力を使う産業を淘汰し、グリーン・低炭素発展、先進的製造、デジタル・スマート製造等の産業を奨励する方針が採用されています。山東省で近年実施された新旧動力エネルギー切替えプロジェクトの中で、鉄鋼、化学工業、タイヤ等の業界で、旧式生産能力を使用している一群の製造企業が淘汰されました。
   このため、各日系企業では先進的製造設備の導入によって生産効率を高め、グリーン・低炭素及びスマート製造を志向した業界分野の発展を図ることが望ましく、そのような取組みによってエネルギー使用や納税の面での優遇を享受し、運営コストを削減することも可能となります。

◆ 日系企業へのアドバイス
   今後も中国政府の新エネルギー産業に対する支援政策は強化されるとみられるため、企業の電力使用も新エネルギーに切り替えていく必要があり、これはカーボンピークアウト、カーボンニュートラルの要求に応える企業の今後の発展の趨勢ともいえます。各日系企業では現地政府のエネルギー発展・利用に関する具体的実施案に随時注目のうえ、弁護士のサポートを受けながら現地政府機関との協議・交渉を通じて、増値税の未控除税額還付等の優遇や企業の電力、エネルギー、土地の利用にかかる優待を享受できるとよいでしょう。

作成日:2022年03月30日