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電力制限と実務対応

   9月以来、中国全土において日系企業が広範な電力制限から生産に深刻な影響を受ける問題が発生しています。指定された期間中しか生産活動を行えないため、本来の生産計画が乱れて期限通りの納品ができなくなったりと、操業停止期間中の従業員への賃金支払いが企業にとって甚大な負担となっています。操業が不安定になることで、従業員の労働時間が不規則となり、対応に追われる企業から弊所への相談も増えています。

   突然の電力制限措置に対し、現地企業の管理者は、どのような対策を取って影響を最小限に抑えるべきか困惑しています。弊所の顧客が講じた措置には以下のような内容があります。
(1)地方政府及び電力局に状況説明書を提出し、電力使用時間を増加してもらえるよう交渉する。
(2)発電機等の施設をリース利用、もしくは自己調達する。
(3)人力資源社会保障局に総合労働時間制の適用を申請し、電力制限による操業停止期間中は従業員を休息させ、電力の正常な使用が回復してから従業員の業務も再開する。
(4)従業員に交替制で勤務、休息させることで勤務時間を短縮し、従業員と協議のうえ賃金を調整する。
(5)電力制限による操業停止期間を利用して従業員への社内研修を行う。

◆日系企業へのアドバイス
   いつから正常に電力を使用できるかの明確な目処は立っておらず、電力制限が2022年まで続く可能性もあるため、現地企業で長期的な対応を準備し、早期に対策を検討する必要があります。例えば、社内規則の見直しを行い、一時的かつ特殊事情下での緊急の電力制限等の問題が発生した場合における従業員の待遇調整についての規則を盛り込んでおくことも考えられます。対応措置や社内規則を見直す過程で、弁護士の意見を取り入れることで、法律規定への違反を避けることができます。

作成日:2021年10月22日