賃貸物件の水漏れで階下に損失を与えた場合誰が賠償するか
Q: 私は駐在員で、北京市朝陽区に部屋を借りて住んでいますが、洗面所の水漏れにより階下に損失を与え、多額の費用を請求されています。請求金額があまりに高く不合理に感じていますが、私が賠償すべきものなのでしょうか。階下で発生したどの部分の費用を賠償する必要があるでしょうか。
A: このような問題は頻繁に発生するもので、調べたところ、北京だけでも最近数年間に数百件の水漏れによる訴訟案件があり、これまでに弊所で受けた類似のご相談も少なくありません。
◇誰が賠償責任を負うか
駐在員が賠償すべきかどうかの判断には、まず、水漏れの原因が何であるか、階上が直接もたらしたものかどうか、他に階下への水漏れをもたらす要素がないかを調べる必要があります。また、大家と締結した賃貸契約でこれについて約定しているかどうか、誰がこの物件の日常の補修義務を負うべきかを確認する必要があります。
◇賠償項目と基準
賠償の項目と基準は、実務において紛争が極めて発生しやすい問題です。
(1)補修工事費用、材料費及び家具や家電に与えた損害等の直接損失については、通常賠償する必要がある。相手方と具体的な金額について合意できない場合は、専門機関に評価を依頼することができる。
(2)階下の補修のために出勤を妨げた期間に対する補償や交通費等の間接損失については、通常賠償しなくてよいとされる。
◇物件の賃借にあたっての留意点
(1)部屋を借りる前の内見が重要となる。
(2)賃貸契約条項の設定が重要となる。
①賃借する物件の用途:居住専用か、オフィス兼用が可能か。賃借人のみの居住に限るか、直系親族であれば居住可能か。ペットを飼うことは可能か。
②賃貸借期間及び賃料:賃貸借期間中の賃料は毎年漸増するのか。期間満了による更新の際、賃料は変更するのか、変更する場合、どのように変更するのか。
③物件を借りる際に確認した問題については、誰が修繕の義務を負うのか。費用負担はどうするか。
④賃借人が部屋の内装、装飾を行う場合は賃貸人から事前に同意を得なければならない。
⑤転貸の可否。
⑥中途解約する場合の違約責任及び賃貸終了時の明け渡しに関して明確に約定する。
(3)問題の発生後に大家と交渉する際のテクニック及び弁護士の利用。
◇日本人駐在員へのアドバイス
日本人駐在員にとり、水漏れ、騒音、ペット等が原因で周囲の住民と紛争になった場合、相手方に主導権を握られ、気持ちの焦りが出ると、交渉の中で犯した小さなミスによりトラブルが複雑化、拡大しやすくなります。そのような場合は、弁護士に依頼することで、こうした生活の紛争を専門知識を活用して適切に解決することができます。
作成日:2020年08月27日