高級管理職が接待で飲酒する場合の留意点
新型コロナウイルスの流行後も、依然として接待の必要は多々発生します。弊所で検索してみたところ、接待中の飲酒により事故が起こり、法律上の紛争となるケースは非常に多いようです。高級管理職が接待で飲酒する場合に、起こりうる法的リスクや責任を防ぐにはどうすればよいか、弊所の実務経験から以下にご説明します。
◇飲酒により負担する可能性のある法的責任に注意
接待中の飲酒そのものには問題がありませんが、一緒に飲んだ人の中で死傷事故が発生した場合、ともに飲酒していた同席者や主宰者が一定の法的責任を負うことになる可能性があるという問題は、普段なかなか意識しがたいものです。
『権利侵害責任法』第6条及び『民法典』第1165条により、行為者が過失により他人の民事権益を侵害した場合、権利侵害責任を負う必要があることが規定されています。例えば、相手に酒を勧めて事故を発生させた場合、民事責任を負うことになります。このほかにも、同席者や主宰者が注意しないと民事/刑事責任を負うことになる状況として、以下のものがあります。
(1)相手が後で運転することを明らかに知りながら、飲酒を制止しなかった場合
(2)酒酔いした者を安全に家まで送らなかった場合
(3)明らかに運転者が飲酒したことを知りながら、その車両に乗るか、飲酒運転をさせた場合→『刑法』の規定により、危険運転罪の共犯者を構成し、刑事責任を追及される可能性がある。
このため、高級管理職は飲酒によって発生するリスクや責任に特に留意する必要があります。
◇高級管理職が接待で飲酒する場合のリスクと対策
(1)会社は各種の状況を総合的に評価し、高級管理職を接待に参加させる必要の有無を検討する。
(2)飲酒した後は、リスクコントロールと注意義務を十分に行う。飲酒後は必ず運転代行を利用するか、会社の運転手に送らせるようにし、飲酒運転により民事罰、行政罰又は刑事罰を受けることのないようにする。
また、新型コロナウイルス流行がまだ完全には収束していない中、感染リスクを回避するため、高級管理職が外出して接待に参加することは極力避けることをお勧めいたします。
作成日:2020年08月27日