虚偽の費用精算への刑事罰適用
◇事例◇
青島にあるA社の営業部長である張氏は、業務の必要上頻繁に全国各地へ出張し、払い戻し精算する発票も多かった。A社で年末の会計監査を実施した際、張氏が提出した発票の多くにおいて、出張した地方、日時、業務内容等が事実と合わないことが判明した。調べにより、一部の出張費用の発票について虚偽の精算が行われたものであり、虚偽の精算金額は15万元余りに上ることがわかった。
後にA社では弁護士のサポートのもと、関連の証拠資料を収集してただちに公安機関へ立件捜査を申し立てたところ、張氏は最終的に職務横領罪を構成するものと認定され、判決で1年6ヶ月の有期懲役を言い渡された。虚偽の精算による違法所得15万元は追徴され、追徴された費用はA社に返還された。
◇対策のアドバイス◇
実務において、従業員による虚偽の費用精算の行為に対しては、まずはその防止メカニズムを構築して整備し、弁護士のサポートのもとで会社の規則制度を改善する中で、虚偽の精算行為に対する有効な処罰の措置を設け、精算の承認プロセスを厳格化し、定期的に従業員に対するコンプライアンス研修を行うという対策が考えられます。一方、事後の責任追及を強化し、その他の従業員による模倣を防止するためには、従業員に虚偽の費用精算の行為があることを察知したら、速やかに専門の弁護士のサポートのもと証拠資料を有効に保管し、会社の規則制度に基づく処罰を行うとともに、対象金額が刑事罰基準(5,000元以上)に達するものについては、法的手段を有効に運用して従業員の負うべき刑事責任を追及し、他の従業員への注意喚起とします。類似の問題を抱えている企業があれば、速やかに弁護士に相談して具体的な状況を踏まえた対応措置を取られるようお勧めいたします。
作成日:2020年08月27日