最新法律動向

顧客リスト漏えいに対する賠償請求

◇事例◇
   青島にある日系企業M社での営業部長を離職した王氏は、次に就職したX社でM社の顧客リストを使って業務を行い、M社に多額の損失を被らせる結果となった。後にM社は営業秘密への侵害を受けたとして、王氏とX社を共同被告として訴訟を提起し15万元の賠償金を勝ち取り、王氏とX社に対し2年間M社の営業秘密の使用を停止する判決が言い渡された。

◇対策のアドバイス◇
   本件において、漏えいされた営業情報が営業秘密を構成するかどうかという点が鍵となります。実務において、侵害を受けた営業情報が秘密性、秘密保持性、適用性、商業価値等の構成要件に適合することを証明する証拠が不足するために、訴訟が棄却されたり敗訴の結果となった事件は数多くあります。訴訟は企業の権利を守るための最後の手段であり、日系企業は、日常のリスク管理を強化してこそ、主導権を握ることができます。
日系企業が取るべき対策として、専門家のサポートのもとで以下の措置を取ることが可能です。
・従業員、取引先と秘密保持協議を締結する。
・高級管理職による営業秘密の取り扱いに対する管理、制御の手段を強化する。
・『不正競争防止法』、『データ安全法』等の関連法令の更新、公布に合わせて企業の秘密保持制度や対策措置を整備する。
・専門の弁護士による、営業秘密に関わる事件についてのビッグデータ分析及び類似案件対応の経験に基づいて会社の営業秘密保護措置に存在する抜け穴を塞ぎ、対策を整備する。
・従業員のコンプライアンス研修を強化し、従業員と会社のトラブルや紛争を速やかに解消し、紛争処理の不備により営業秘密が悪意により社外に漏えいされることを避ける。
・営業秘密の漏えいが発生した場合は、ただちに専門の弁護士の協力を求め、証拠を確保し、権利を保護し、損失を止める措置を取る。

作成日:2020年08月27日