肺炎流行の影響に不可抗力は適用可能か③
Q1:現在一部の開発区では操業再開の届出要求がなくなったと聞きましたが、本当ですか。
A1:確かに、一部の地方政府ではすでに操業再開の届出が不要となっています。政府では迅速な経済の回復を目指し、企業が秩序正しく操業・生産を再開することを支持し、奨励する一連の施策が取られています。ただ、感染流行はまだ収束してはいません。企業で操業・生産を再開するにあたっては、従業員のマスク着用、工場内で定期的に消毒、換気を行う等、依然として感染抑止措置を重視、履行する必要があります。これらの措置を怠り従業員に感染者が出た場合、その他の従業員もまとめて隔離されることになり、生産経営が再び停滞してしまうことになりかねません。
Q2:政府が企業の操業再開を認めても、従業員の中には居住地の街道・社区、村民委員会により実施されている封鎖式管理のために出勤できない者もおり、正常な生産を行うことができません。企業がこれについて不可抗力を主張し、違約責任を免除されることは可能でしょうか。
A2:以前の段階で政府より公布されていた、2月9日までは操業を再開してはならないという操業再開延長措置は、政府が取った強制的な感染抑止措置でした。これについては、CCPIT(中国国際貿易促進委員会)又は公証機関に、不可抗力の事実を証明する文書の発行を申請することができます。現に2月2日、全国初となった新型コロナウイルスによる肺炎の感染流行にかかる不可抗力事実証明書がCCPITより発行されています。
しかしながら、不可抗力には期間があるという点に十分留意する必要があります。政府が取った感染抑止の措置や、各契約の履行に受けた影響の具体的な状況により、不可抗力が適用される具体的な期間は異なります。このため、証明書の発行は速やかに申請したほうがよく、遅れると後で紛争が発生しやすくなります。
2月10日以降、大部分の地方政府ではいずれも操業再開が許可された中、一部の街道・社区、村民委員会が封鎖式管理措置を実施したことを理由に、関係機関に申請して証明書を取得することは難しいと思われます。そのような場合に企業の違約リスクを回避し、正常な生産の早期回復を目指すためには、速やかに専門の弁護士に依頼し、積極的に街道・社区、村民委員会や、さらに上級の所管政府機関との交渉を行い、従業員の出勤が許可されないことがもたらす損失や責任について書面で指摘したうえ、交渉を行った証拠を残すようにする必要があります。
作成日:2020年02月24日