「日中社会保障協定」が9月より発効
【概要】
日中社会保障協定が9月1日から正式に発効する。人力資源社会保障部が8月28日に実施通知を公布し、具体的実施弁法が明確に示された。日系企業及び日本人駐在員には、自身の状況に応じて速やかに関連手続きを行って頂きたい。
日中両国は2018年5月9日に『社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定』(以下「日中社会保障協定」という)に署名し、中国、日本の両国における日本人の社会保険料の二重払いの問題が有効に解決されました。「日中社会保険協定」は、この9月1日より正式に発効することとなり、よりよく徹底された執行のため、人力資源社会保障部からは8月28日付で実施通知が公布されています。日系企業及び日本人駐在員は速やかに自身の状況に応じて関連の手続きを行い、疑問点や不明点がある場合は、専門の弁護士のサポートを受けることがお勧めされます。以下は実施弁法を簡単に整理したものです。
1.納付が免除される保険種類の範囲
在中日本人の「従業員基本養老保険」が免除されることになります。
2.免除される範囲以外の保険種類の納付について
従業員基本養老保険を除いては、在中日本人は法に定められた通りに中国のその他の種類の社会保険である、従業員医療保険、労災保険、失業保険及び出産保険に加入する必要があります。
3.納付を免除される人員の範囲
(1)派遣される者
(2)海上航行船舶において就労する被用者
(3)航空機において就労する被用者
(4)外交領事機関の人員、公務員
(5)例外の人員
(6)派遣される者、公務員、例外の人員の配偶者又は子女
4.「派遣される者」について社会保険料の納付を免除する期間
派遣される者が初回に納付免除を申請できる期間は最長5年間とされています。派遣期間が5年を超える場合、人力資源社会保障部又は人力資源社会保障部社会保険事業管理センター(もしくは当部が指定するその他機構)の同意を得て、延長することが可能とされています。
5.所管機関及び仲介機関
(1)所管機関:人力資源社会保障部
(2)仲介機関:人力資源社会保障部社会保険事業管理センターか、当部が指定するその他機構
6.関連社会保険料の納付免除に関する管理弁法
(1)在中日本人が保険加入地の社会保険仲介機関に、日本の仲介機関より発行された「保険加入証明書」を提出して審査認可を受けると、規定期間中の関連社会保険料の納付義務が免除されます。
(2)「保険加入証明書」を提出することのできない在中日本人は、全て法に定められた通りに中国の社会保険に加入する必要があります。
(3)従業員基本養老保険を除き、在中日本人は法に定められた通りに中国のその他の種類の社会保険に加入する必要があります。
以上が人力資源社会保障部より公布された実施通知の主な内容となります。近く、各地の人力資源社会保障機関では各地の実状を踏まえた具体的実施案が制定されることとなります。「日中社会保険協定」の適用や、具体的な手続き方法等に関する質問がある方は、ぜひ弊所にお問い合わせ頂ければ、より詳しくご紹介させていただきます。
作成日:2019年09月02日