「ネガティブリスト」がさらにスリム化
【概略】
外資参入にかかる「ネガティブリスト」の2019年全国版と自由貿易試験区版が、7月30日より正式に施行される。交通運輸等の分野では全国版において外資への制限が廃止された一方、出版物印刷等の業界では自貿区での制限廃止が先行される形となった。
2019年版『外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)』(以下「全国版ネガティブリスト」という)及び『自由貿易試験区外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)』(以下「自貿区版ネガティブリスト」という)は、予定されていた通り、来る7月30日より正式に施行されることとなっています。両リストにおいて、外資の参入を制限する分野はさらに縮減され、中国の対外開放への決心がさらに現れたものとなっています。
●全国版ネガティブリスト更新の要点
1.交通運輸: 国内船舶代理について外資の持分割合の制限を廃止。
2.インフラ: 人口50万人以上の都市のガス、熱の配管網について、外資の持分割合の制限を廃止。
3.文化産業: 映画館、演出マネジメント機構について、外資の持分割合の制限を廃止。
4.付加価値電信: 国内マルチ通信、データ保存転送、コールセンターの3業務につき外資制限を廃止。
5.農業: 野生動植物資源開発業界の外資制限を廃止。
6.採鉱業: 石油・天然ガスの探査・開発を、合弁、提携に限る制限を廃止。モリブデン、錫、アンチモン、蛍石の探査、採掘の外資制限を廃止。
7.製造業: 画仙紙、固定墨の生産の外資制限を廃止。
●自貿区版ネガティブリスト更新の要点(自貿区外においては依然禁止)
1.農・林・牧畜・漁業: 小麦、トウモロコシの選抜育種及び種子の生産における外資の持分割合を緩和して66%まで認め、中国の管轄海域及び内陸水域の水産物漁獲業の外資制限を廃止。
2.製造業: 出版物印刷業の外資持分割合の制限を廃止し、放射性鉱産物の精錬、加工業及び核燃料生産業の外資制限を廃止。
3.文化産業: 文芸公演団体への外資による投資禁止を廃止したが、中国側の持分支配とする。
自由貿易試験区は設立6周年を迎え、「ネガティブリスト」による多分野の外資制限が廃止され、6箇所の自由貿易試験区が新設される等、一連の対外開放の新政策が相次いで打ち出されています。自由貿易試験区内のスピーディで効率のよい集中行政サービスモデルや、事務手続きの減免等、外資系企業の事業展開に便宜を図る措置について、今後もますます全国への適用普及が進められる見通しとなっていますので、日系企業では関連政策の実施状況に十分ご留意ください。
作成日:2019年07月25日