特許法改訂案草案のパブリックコメント
今年1月4日、「中国人大ネット」で『特許法(改訂案草案)』が公開され、パブリックコメントが開始されました。意見の提出期限は2019年2月3日までとなっています。『特許法(改訂案草案)』(以下『草案』という)の改訂ポイントを以下で簡単にご紹介します。
1.職務発明創造権の激励制度を新設
『草案』では、職務発明創造について特許を出願する権利や特許権は所属する企業や組織に帰すると規定していますが、企業・組織は財産権のインセンティブを実行し、株式、オプション、配当等の形で、発明者又は設計者にイノベーションの収益を合理的に享受させることができます。
2.特許の保護期間の延長
『草案』では、意匠特許権の存続期間が「10年」から「15年」まで、5年延長されました。
このほか、新薬の発売にかかる評定審査認可期間への補償を行うために、中国国内外で同時に発売を申請する新薬の発明特許について、国務院は最長5年までの特許権期間延長を決定することができるとされています。
3.特許の許諾開放制度
『草案』によると、特許権者があらゆる企業・組織や個人に対してその特許の実施を許諾する旨を書面により国務院特許行政機関に声明するとともに、許諾使用料の支払い方法や基準を明示することで、国務院特許行政機関が公告を行い、許諾の開放を実行することができます。また、特許権者が書面により許諾開放声明を撤回することもできるとされています。
4.ネット上の特許権侵害にかかる連帯責任制度
『草案』では、特許権者又は利害関係者が、裁判所により効力の生じた判決書、裁定書、調停書か、或いは特許業務の管理機関が下した権利侵害の停止を命じる決定により、ネットワークサービスの提供者に権利を侵害する製品について削除、ブロック、リンクの切断等の必要な措置を取るよう通知するよう規定しています。ネットワークサービスの提供者が通知を受けても速やかに必要な措置を取らない場合、損害の拡大した部分について、権利を侵害したネットユーザーとの連帯責任を負うことになります。
以上が改訂の関連ポイントとなります。中国政府により知的財産権に対する保護がますます強化され、日系企業に知的財産権がより維持しやすくなる環境がもたらされているといえます。現時点では、『特許法』の改訂案はまだ正式実施前であり、最終的な内容は権限機関が正式に公布して施行されるものに準ずることになるため、関連の政府の動きに注目されるようお勧めします。
作成日:2019年01月31日