最新法律動向

注目されてきた『外商投資法(草案)』の意見聴取稿公開、より積極的な対外開放への意向を発信&今年1月1日より、改正『個人所得税法』及び関連実施弁法の施行を開始

●注目されてきた『外商投資法(草案)』の意見聴取稿公開、より積極的な対外開放への意向を発信

  • 2018年12月26日、全国人民代表大会常務委員会の初回審議を経て、『外商投資法(草案)』が 「中国人大ネット」上で公布され、意見公募が行われています。期限は2019年2月24日までとされ、外国投資者や外資系企業は中国人大ネットにアクセスして草案への意見を提出することができます。
  • 『外商投資法』の草案は、「外商投資」の定義と状況、投資への促進、保護及び管理等にわたり規定したものとなり、中国のより積極的な対外開放への意向を発信しています。草案では、外国投資者が高く注目する強制技術譲渡の禁止や、収用を実行しないこと、政府調達や標準化業務等への外商投資企業の平等な参与の許可等が明確に規定されており、外国投資者の投資に関する懸念を払拭するものとなっています。

留意点: 2018年12月から開始された意見公募に続き、最新の情報によると、2019年1月29日、30日に開催される第13期全国人民代表大会常務委員会第8回会議で再度『外商投資法(草案)』の審議が行われる可能性があり、『外商投資法』の立法が加速され、早期通過となる見込みがあります。外資分野における基本法となる『外商投資法』に関する立法の動向は、外国投資者や外資系企業にとり引き続き高く注目されるべきものとなります。

●今年1月1日より、改正『個人所得税法』及び関連実施弁法の施行を開始。改正『個人所得税法』の主な改訂ポイントは以下の通り。

(1)分類税制から、総合と分類を組み合わせた税制への転換。かつての賃金給与所得、役務報酬所得、原稿料所得、特許使用料所得を総合所得とし、統一の超過累進税率を適用して徴税を行う。このような総合所得税制は居住者個人に適用され、非居住者個人には適用せず、依然として個人所得税を項目ごとに計算する。
(2)「特別追加控除」の新設。居住者個人の総合所得は、1納税年度ごとの収入額から6万元の費用控除と特別控除・特別追加控除・法により確定するその他の控除を適用した残りが、課税所得額となる。特別追加控除には子女の教育、継続教育、重大疾病の医療費、住宅ローンの利子又は家賃、高齢となった親の扶養費等の支出が含まれる。

新たに施行される『個人所得税法実施条例』では、中国国内に住所のない個人について、中国での居住日数に応じて異なる納税範囲が規定されています。この点は2019年1月1日の以前の関連規定からの変更点となっています。新たに設けられた特別追加控除の規定につき、『個人所得税特別追加控除暫定施行弁法』では、特別追加控除の各項目の具体的基準及び控除の申請書類等について、詳細に規定しています。

留意点:外国人、中国人従業員のいずれにとっても、改正『個人所得税法』の改訂は直接の影響をもたらすものとなります。企業各社では、納税申告にミスが出て企業や個人が不便や損失を被ることのないよう、新法とその関連規定に十分注目し、随時各地方政府や関係機関による執行状況に注意を払う必要があります。

作成日:2019年01月18日