「ゾンビ企業」の整理、2020年末を完了目処に
【概要】
技術の遅れた、長期欠損を抱える企業をなくして資源の有効利用と市場の活性化を図り、前途ある企業の発展を促す目的から、各級の責任主体に対し、2020年末までに「ゾンビ企業」や生産能力淘汰企業の債務処分の完了を求める文書が複数機関合同で公布された。
今年11月23日、国家発展改革委員会、工業情報化部等の11機関は合同で『「ゾンビ企業」及び生産能力淘汰企業の債務処理業務をよりよく実施するための通知』(以下『通知』という)を公布し、各責任主体が「ゾンビ企業」や生産能力淘汰企業の債務処分を行うよう要求し、通知後3ヶ月以内に初陣リストを確定のうえ、2020年末までに全ての処分を完了するとしました。
①「ゾンビ企業」とは、すでに生産を停止したか半停止し、連続欠損、債務超過となっており、主に政府補助や銀行からの継続的な借入れにより経営を維持している企業を指します。
「生産能力淘汰企業」とは、生産能力が過剰となり、需要を上回る製品供給を行い、資源の消耗や汚染物質の排出水準が高く、収益率の低下している、モデル転換、アップグレードの待たれる企業を指し、鉄鋼、セメント、電解アルミ等の産業の企業がその例です。
②「ゾンビ企業」及び生産能力淘汰企業では、大量の土地、資金、原材料、労働力等の社会的資源が、長期にわたって無駄に占用されています。また、他の健全な企業の市場機会を奪い、効率を向上させるための原動力を失っています。さらに、従業員賃金、社会保険料の未納や遅配が深刻で、従業員の権益が損なわれています。
このような企業は、市場競争を通じて破産に追い込まれるべきところですが、「ゾンビ企業」を操業停止すると、企業の銀行債務、資産処分、従業員処遇といった問題の責任が政府に降りかかることになり、政府ではこうした圧力を受け止めることが困難となっています。
③国務院により今回公布された関連文書は、技術的に遅れ、長期欠損している企業を基本的になくすことで、資源の有効利用や市場の活性化を図り、前途ある企業の発展を促すことを目的としています。今回の整理によって、将来の新興産業や高能率企業がより大きな発展の余地を享受できるようになるでしょう。中国市場への投資を検討している外資企業にとっても、将来的に高い技術力を有し、高付加価値の、クリーンな環境配慮型の企業を支援するという中国政府の方針は、注目する価値があるものと思われます。
作成日:2018年12月28日