信用失墜に対する懲戒~史上最も厳しい社会保険懲戒行動が実施へ、10万元以上の未納税が出国制限の対象に
●28機関による合同措置で社会保険分野の信用失墜への取り締まりがいっそう厳格化
- 11月22日、国会発展改革委員会、人民銀行等の28機関が『社会保険分野の重大信用失墜企業及びその関係者に対する合同懲戒の実施協力に関する覚書』を共同で公布し、社会保険料の納付拒否、事実の通りに社会保険料基数を申告しない、是正を拒否して実施しない等の状況について、32項の合同懲戒が実施されることになりました。
- 人力資源社会保障部、税務総局及び医療保障局は、全国信用情報共有プラットフォームを通じてこの覚書に調印したその他の機関に対し、社会保険分野の信用失墜者情報を提供するとともに、これらの情報は「信用中国」のウェブサイト、国家企業信用情報公示システムにおいて、人力資源社会保障部、ならびに税務総局及び医療保障局のウェブサイトから、社会にも公表されることになります。
留意点:
今年、社会保険に関する信用失墜行為に対する処分の措置について、政府機関よりすでに多くの政策が公布されてきました。今回の『協力に関する覚書』の公布は、道徳上のリスクが発生した場合の企業負担コストを大幅に引き上げ、社会保険のシステムのいっそうの規範化をもたらすものとなるでしょう。社会保険料の納付において違法行為があったことが発覚すれば、企業は様々なデメリットや制限を被る可能性があります。これには例えば、重点監督検査の対象とされる、社会保険業務の提携プロジェクトへの参与を制限される、財政支援の補助資金や社会保障資金によるサポートへの申請を制限される、サプライヤーとしての政府調達活動への参加を制限される、株券の発行やM&A・再編が阻害されるといった影響があります。企業の信用に不良記録がつくことでより深刻な結果に陥ることのないよう、企業は法に従い、期限内に、満額での社会保険料納付・申告を心がけることが大切です。
●国家税務総局が『租税に関する重大違法事件の情報公表弁法(試行)』が改訂され、『租税に関する重大違法信用失墜事件の情報公表弁法』を公布
- 『弁法』では、主に事件の公表基準、公表される情報の内容、信用の回復、事件の公表停止等に関する改訂が行われました。
- 実際の状況に基づき、『弁法』では、未納税の追納回避をもって「租税に関する重大違法信用失墜事件」とみなす基準が、「未納税額100万元以上」から「未納税額10万元以上」に改訂されました。
- 弁法』では「脱税、未納税の追納回避、不正な輸出税還付、納税拒否、虚偽の領収書の発行等の行為があり、税務機関の検査により、逃走し連絡が取れないことが確認された場合」を、租税に関する重大違法信用失墜事件とみなすうえでの明確な基準の一つとしました。これには、税務局査察局が行政決定を出す前に、すでに逃走し連絡が取れなくなっていた場合と、税務局査察局が行政決定を出した後に逃走して連絡が取れなくなった場合が両方とも含まれます。
留意点:
この『弁法』が公布・施行されると、租税に関する違法に対する合同懲戒の全体構造が徐々に形成されることとなります。未納税の追納回避について金額が10万元に達していれば、税務機関はそれだけで社会に関連情報を公開することができるほか、情報は関係機関にも通報され、厳格な監督管理や合同懲戒が複数機関により共同で実施されることになります。企業は十分にご留意ください。
作成日:2018年12月19日