雨の日の通勤途中の負傷は労災として認められるか
Q.青島の日系企業です。最近青島では雨の日が多いのですが、従業員が通勤の途中に雨のために負傷した場合、労災が認められるでしょうか。
A.『労災保険条例』第14条には、労災として認定されるケースが明確に定められています。通勤途中に負傷した場合、全てのケースが労災に該当するわけではなく、『労災保険条例』第14条第(6)号に該当し、なおかつ同条例の第16条に所定の事由に該当しない場合に限り、労災であると認定されます。認定の条件等について、詳しくは次の通りです。
1.「労働者の通勤時の負傷」が、合理的な通勤時間内に、合理的な通勤ルートにおいて起きていることが必要となる。
(1)合理的な通勤ルートとは
一般に、労働者が勤務先と自宅住所の往復に使用する合理的なルートを指します。これは最短ルートに限らず、また唯一のルートであるとも限りません。また、労働者が通勤途上で回り道していた場合、回り道をする必要性、距離の長短、原因その他の要素を踏まえて分析を行い、合理的な通勤ルートかどうかを判断します。これは一概に判断できるものではなく、具体的な状況を踏まえた具体的な分析が必要となります。
(2)合理的な通勤時間とは
使用者の定めた通勤時間をそのまま適用するのではなく、労働者が時間外勤務又は会社に許可を取った代休・休暇等、その他の合理的な原因により、通勤時間が遅れたり早まったりするケースも考慮します。
2.労働者が「本人の責任」によらず負傷した場合
本人の責任によらない負傷の場合には、交通管理、交通運送、鉄道等の機関や司法機関、法律・行政法規によって権限を与えられた組織が発行する法的文書が根拠となります。
3.労働者が交通事故又は通勤列車・バス・船・列車事故で負傷した場合
4.労働者が該当すると労災認定を受けられない事由(『労災保険条例』第16条)
(1)故意による犯罪行為があった。
(2)酒酔い又は麻薬吸引をしていた。
(3)自傷又は自殺をした。
上記の通り、労働者が通勤途中に負傷した場合、全てのケースが労災と認定されるわけではありません。法令に合致し、即ち上記の条件に全て適合する場合に限り、労災と認定されます(いずれか1つが欠けていても不適格となります)。また、実際の労災認定では、所管の政府機関が使用者又は労働者の提供した関連書類及び具体的な事由を総合的に分析して決定するため、認定結果は一概には判断できません。使用者は日常の経営管理において、従業員の通勤、時間外勤務、休暇の適切な管理及び現住所情報の確認等、証拠の収集と保管に注意を払うことで、不要な紛争の発生を避けることにつながります。
作成日:2018年07月17日