最新法律動向

日中社会保障協定締結 駐在員の社会保険料の負担軽減へ

先日、人力資源社会保障部(以下「人社部」という)は、日本と中国が『社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定』(日中社会保障協定、以下「協定」という)を締結したことを発表しました。

締結の背景

2011年に『中華人民共和国社会保険法』が施行されて以来、日中両国政府は、正式に社会保障協定のための交渉を重ねてきました。その結果、2017年10月に東京で行われた第8回政府間交渉で協定の内容について最終合意に至り、2018年1月には実質的な交渉の終了が宣言され、5月9日、日中社会保障協定が正式に締結されました。

ポイント

日中両国は、今後相手国で就労する駐在員、船員、航空機の搭乗員、外交官、公務員の社会保障に関する年金又は従業員基本養老保険への加入義務を免除することとしました。協定では適用対象者の範囲、相互に免除する保険の種類、免除期間等について取り決めています。

留意点

これまで、日系企業の駐在員は全て、中国での滞在期間中、中国法に基づいて従業員基本養老保険に加入することが義務付けられていました。協定の締結は、日本から中国に派遣される駐在員の社会保障を受ける権利を有効に維持しながら、日系企業の在中駐在員の社会保険料の納付負担を軽減するものとなり、ひいては日系企業による対中ビジネスや人員の派遣を促進することにもつながります。ただし、協定は政策の方向性を示したものに過ぎず、正式な発効日については、まだ公開されていません。また、すでに納付された社会保険料の扱いや今後の協定内容の具体的な実施等については、その他の関連法令の公布及び協定に対する中国各地の人社部の理解に基づいて執り行われることとなります。協定が締結されてまだ日が浅く、関連する政策の発表には引き続き注目していく必要があります。

作成日:2018年05月16日