最新法律動向

自貿区における外資参入制限のさらなる緩和

2018年1月9日、国務院は『自由貿易試験区において関連の行政法規、国務院文書及び国務院の認可を得た機関規則の規定を暫時調整することに関する決定』(以下『決定』という)を公布し、各自由貿易試験区における外資の参入制限がさらに緩和されることになりました。

◇自由貿易試験区内における外資の参入制限のさらなる緩和

①今回の調整は16種類の法規、規則制度及び文書に及びます。
②今回の調整の対象となる業界・分野は、海運、印刷経営、交通運輸、企業経営、金融、文化サービス等に及び、これらの分野における開放拡大が図られています。
③規定の適用範囲も拡大され、今回調整された内容は、11の自由貿易試験区全てに適用されます。

◇『決定』の主な内容

1.外資系銀行の営業機構による人民元業務の経営に関する調整
 調整前は、外資系銀行の営業機構が人民元業務を経営する場合、中国国内で開業してから1年以上が経過していなければならないという制限が存在していました。
 調整後は、上記の制限が撤廃されました。

2.国際船舶運送、国際船舶管理、国際海運貨物積卸、国際海運コンテナヤード及び貨物集積会社(以下「海運会社」という)等についての調整
 調整前は、外資系海運会社は、中国企業との合弁経営か、提携である必要があり、外国側の出資比率は49%を超えてはならないとされていました。
 調整後、外国投資家の独資での海運会社設立が許可され、投資形式と出資比率の面での制限がなくなりました。

◇日系企業の留意点

 上記の内容のほか、今回の『決定』により、印刷経営、ガソリンスタンドの建設経営、都市軌道鉄道事業における設備の国産化の割合等についても、相応の調整が行われています。『決定』は、主に外資による投資の形式及び登録資本へ出資比率の制限を撤廃することにより、外資系企業の経営範囲を拡大する等、自由貿易試験区における外資の参入制限を緩和しています。
 また、2017年7月に、国務院は『外商投資産業指導目録』を修正し、「ネガティブリスト」の内容を63項目にまで減らしました。この昨年施行された『外商投資産業指導目録』に対し、今回の『決定』はさらなる調整を行うもので、外資による投資と外資系企業への制限をいっそう緩和するものとなっています。現段階では、『決定』により調整される内容は、既存の11自由貿易試験区での適用に留まるものの、長期的な見通しでは、今回の調整内容が、自由貿易試験区での実施状況に基づいて、全国範囲に普及される可能性もあります。今回の調整の内容は日系企業にも関わるものであり、国及び所管政府機関の今後の動きが注目されるものとなっています。

作成日:2018年02月14日