WeChat等による辞表の有効性
Q.青島の日系メーカーです。WeChat等のチャットアプリの普及に伴い、実務において、従業員が電子メール、WeChat、携帯電話のSMS(ショートメッセージ)等を使用して会社に辞表を提出することが多くなりました。しかし、辞表を出してから、何らかの理由で退職する意向がなくなり、このような方法は法定の書面形式に合致するものではないとして自らの辞表提出の行為が無効であることを主張する従業員がいます。電子メール、WeChat、SMSを使用した辞表の有効性について教えて下さい。
A.『契約法』第11条によれば、書面形式とは、契約書、信書、電子通信(電報、テレックス、ファックス、デジタルデータの交換及び電子メールを含む)等、記載する内容を有形で表現できる形式を指すものと規定されています。また『「民事訴訟法」の適用に関する最高裁の解釈』第116条第2項によれば、デジタルデータとは、電子メール、デジタルデータの交換、ウェブチャット履歴、ブログ、Weibo、SMS、電子署名、ドメイン等によって形成されるか電子媒体に保存された情報を指すものと規定されています。したがって、電子メール、WeChat、SMS等を使用して送付した内容も、法定の書面形式に該当し、従業員がこれらの方法により辞表を提出した場合でも、書面形式により退職届を提出したと見なすべきであるとされます。
実務上、もう1点議論の焦点となりうるのは、電子メール、WeChat又はSMSの送信者が従業員本人であるということを、会社が証明できるかどうかということです(例えば従業員の携帯電話番号が本人の登録情報と一致しない場合、実際の使用者が従業員本人であることを証明することは難しいと思われます)。そのため、このようなケースでは、証明という最終的な目的の実現のために、弁護士に依頼して関連証拠を網羅的に収集し、系統的な証拠準備を行われることをお勧めいたします。
作成日:2018年01月10日