最新法律動向

『標準化法』の改定

2017年11月4日、第12期全人代常務委員会第30回会議において『中華人民共和国標準化法』の改定案(以下「新法」という)が可決され、2018年1月1日から施行されることになりました。これは、これまで30年にわたり施行されてきた旧『標準化法』への初めての改定となります。以下、新法について簡単に説明いたします。

定義

新法にいう「標準」とは、農業、工業、サービス業及び社会事業等の分野において、統一的な技術要求が必要であることを指しています。これには国家標準、業界標準、地方標準、団体標準、企業標準が含まれます。

政策のポイント

1.新法により標準制定の範囲と種類が拡大
新法が標準を制定する範囲は、工業製品、建設工事、環境保護等の工業分野から農業、工業、サービス業、社会事業等複数の分野に拡大され、また旧法の規定する標準の種類のうち、協会、商会等の社会団体が制定する団体標準に関する規定が追加されました。

2.強行性標準の範囲の明確化および強行性業界標準と地方標準の廃止
新法は、強行性標準の範囲を明確化し、強行性国家標準のみ制定を許可し、旧法で規定されていた強行性業界標準と地方標準を廃止しました。また、強行性国家標準の範囲、健康と生命財産の安全の保障、国家の安全、生態環境の安全及び経済社会管理上の基本的需要の満足といった分野に限定しました。

3.新たな団体標準、企業標準を設け、自己申告による公開と監督の制度を確立
新法は、旧法に所定の企業標準届出制度を廃止し、企業が取り扱う商品又は提供するサービスにかかる標準を公開し、標準化行政所管機関による監督を行うことを要求しました。自社で採用する標準を公開していない企業に対しては、標準化行政所管機関が期限を設けて是正を命じます。期限を過ぎても是正しない場合、標準情報公共サービスのプラットフォーム上で公示します。

留意点

1.新法により団体標準の制定が認められることになったため、新法の発効後、商会、協会等の各社会団体が相応の団体基準を制定する可能性があり、新たに制定された団体標準は、全ての社会団体のメンバーに適用されることになります。このほか、強行性標準の範囲が変更されたため、これまで企業に適用されていた強行性業界標準と地方標準にも変化が生じる可能性があります。日系企業では、自身が関係する標準の変化に注目され、商品やサービスに対して相応の調整を行い、基準違反のために法的責任を追及される事態を避ける必要があります。

2.新法は、企業が社会に向けて取り扱う商品又は提供するサービスの標準を公開することを要求しています。標準を公開していないと、所管の機関により相応の行政処分を受けることになります。日系企業では、公開していないことや公開が遅れたことにより行政処分を受けることのないよう、速やかに標準を公開することが重要です。

3.『対外開放拡大、積極的な外資利用にかかる若干の措置に関する国務院の通知』は、外資系企業と中国資本企業が、中国の標準化業務に公平に参与することを促進すべきであると指摘しています。新法及び新たに公布される『外資系企業の中国の標準化業務への参与に関する指導意見』を踏まえ、国は外資系企業による中国標準化業務への参与を奨励し、外資系企業と中国資本企業に対して同等の待遇を与えるとしています。当該指導意見は、外資系企業の参与能力、参与の範囲、参与の標準化業務に関連しうる知的財産権等についても均しく相応の規定を設けているため、中国の標準化業務に参与する意向のある外資系企業は、重点的に新法や当該指導意見に注目いただくとよいでしょう。

作成日:2017年12月18日