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企業所得税法が10年来始めての改訂 専門家は税率を25%から22%へ引き下げるよう提案

2月22日に開催される第12期全人代常務委員会第26回会議において、国務院が審議を提起した企業所得税法改訂草案という議案(以下「企業所得税法改訂案」という。)が審議されることになっている。

 企業所得税は、中国の二大税種の一つであり、2016年の納税総額は28,850億元に達し、千万社の企業納税者に関連するものである。このため、今回の改訂内容は特に注目を集めている。その焦点の一つは、税率が調整されるかどうかである。

 北京大学法学院教授で中国財税法学研究会の劉剣文会長は、我々第一財経の分析に対して、次のように述べた。これは、企業所得税法が2008年、正式に施行されてから始めての改訂であり、この10年来、中国国内と外国の経済や社会環境に変化が生じたため、供給側の構造改革を背景として企業减税と権限委譲の原則に従い、アメリカのトランプ大統領が减税という新たな政策を打ち出すという世界的な減税の流れにより、中国の25%という企業所得税も引き下げられ、関連する優遇政策も更に強化され、租税回避という面でも新たな変化が生じる可能性があるためである。全体的に言って、今回の企業所得税法の改訂は企業の負担を軽減し、企業の健全な発展を促す筈である。劉会長は、企業所得税が現在の25%という税率から22%前後に引き下げられることが予測されるという。

 施行から10年が経過し、企業所得税法の始めての改訂により引き続き企業の税負担が軽減されることを人々は期待している。しかし現在のところ、政府側からは今回の企業所得税法の改訂により税率が引き下げられることを裏づける発表はない。

中国内外の情勢により税率の引き下げも

 新華社の報道によれば、2月14日に招集され、開催された第12期全人代常務委員会第88回委員長会議により、2月22日から24日に北京市にて第12期全人代常務委員会第26回会議が開催されることが決定された。その議題の一つが国務院より審議が提起された企業所得税法改訂草案という議案である。

 企業所得税法は、2007年3月に全人代にて可決され、2008年1月1日から施行されている。企業所得税納税者は、中国国内で収入を得ている企業が納付し、その税率は25%、中小企業やハイテク企業に対しては、税率の優遇措置を行っている。

 企業所得税の納税額は穏やかに増えてゆき、中国の二大税種の一つとなり、中国国内の増値税の納付額に匹敵するほどになった。財政部のデータによれば、2008年の企業所得税の納税総額は11,175億元で、2016年の数字は28,850億元との事である。

 ここ数年、中国経済の下押し圧力は高く、企業の利益は明らかに減少してきている。企業の負担を減らすため、今回政府は大規模な減税・費用削減の措置を打ち出した。昨年5月に打ち出された営業税を全面的に増値税へ変更することによる1年間の減税規模は5,000億元を超えており、段階的に社会保険料率を引き下げる措置によっても企業は千億元負担を軽減されている。

 財政部の肖捷部長は、昨年末の全国財政作業会議の席上で2017年の作業を手配する際、引き続き減税・費用削減政策を実施する方針を打ち出した。その中の一つが新たな减税措置を検討し、これを実施することである。

 劉会長は、現在の中国国内の情勢のもと、供給側の構造改革により企業のコストを引き下げるという要請により、企業所得税の税率が引き下げられ、減税を通じて企業の発展が促される可能性があると述べている。アメリカ等の主要国で、これから大規模な減税が実施されるのも、外部から中国に減税を迫るものであり、企業所得税の税率低下は、アメリカトランプ大統領による减税政策の打撃を緩和することにもなるという。

世界的な減税の兆しが見えてきた

 减税は、アメリカのトランプ大統領に任期中における経済改革の重要な一環である。その中でアメリカの企業所得税を35%から15%に引き下げるとしている。これによる减税規模は1万億米ドルに達する見込みである。英国のテリーザ・メイ首相も今後企業所得税率を引き下げるという政策を正式に承認した。これにより2020年迄に企業所得税税率を17%に引き下げるとし、英国の企業所得税率をG20のメンバー国の中で最低ランクにすることを約束した。フランス大統領選で注目されているフランソワ・フィヨン候補も、就任した暁には、フランスの企業所得税率を現在の33%から25%に引き下げるという公約を掲げている。

 国家税務総局税制科学研究所の李万甫所長は、世界の多くの経済体は益々减税措置を講じ、世界で更に大規模で広範囲の减税の流れがやってくることが予測されるという考え方を文章で発表した。

 実のところ、中国でも2007年の企業所得税法を立法する際に税率引き下げ等の措置を実施している。

 2008年に施行された企業所得税法のポイントは、企業の税負担を引き下げることにあった。具体的な内容は中国資本の企業と外資系企業の差別待遇の解消、中国資本の企業と外資系企業の所得税法の一本化であり、法定税率を33%から25%に引き下げるというものであった。また、中国が重点的にサポートしているハイテク企業には15%、条件の適合する中小企業には20%の税率引き下げの優遇政策を実施し、西部地区の奨励類企業に対しては15%の税率引き下げの優遇政策を実施してきた。

税制の優遇政策等も改訂される可能性が

 社会科学院財経戦略研究院の楊志勇研究員は、第一財経の記者に対し、ここ数年、固定資産の加速減価償却にかかる企業所得税政策が整備され、多変税制徴収管理契約及び国家租税回避等に関連する内容も企業所得税法の改訂案に反映される可能性があるという。

 劉会長も、企業の費用控除、固定資産の加速減価償却等の企業所得税にかかる優遇政策も更に強化されると考えている。ここ数年、中国は他の国と税制協定を締結した後、国際的な租税回避という面でも新たな措置が講じられた。これも、現在の企業所得税法改訂案に反映される可能性があるという。

 2014年と2015年に、財税機関は『固定資産の加速減価償却にかかる企業所得税政策を整備ことに関する通知』と『固定資産の加速減価償却にかかる企業所得税政策を更に整備することに関する通知』をそれぞれ公布し、バイオ薬品製造業、自動車製造業等の10大業界の固定資産の減価償却を促進し、企業のキャッシュフローを活性化して、「負担軽減」の効果を生み出した。

 2015年末、G20のメンバー国のトップは、OECDが提示したBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの最終案を正式に批准した。当該案は、合計15項目の行動計画にて構成されている。うち、中国を含む60余りの主要国が当該案に参加することになっている。BEPSプロジェクトの主旨は国際税制規則を改訂し、多国籍企業による世界的な租税回避、各国の税源浸食行為を阻止することにある。これは、今世紀来の国際税制規則体制に現在根本的な変革が生じていることを示すものである。

 中国は、BEPSの15項目の行動計画を実施すべく、税制税収管理法の改訂、特別納税調整実施弁法に付随する書類等の法規の改訂を進めており、企業所得税法の改訂もその範囲と考えられている。

 劉会長は、今回の企業所得税法改訂案に対する意見は充分にコンセンサスが取れれば、1回で可決される可能性があるが、内容に論争のある点については、再度審議する必要があるが、今年中には企業所得税改訂案は可決されるだろうと記者に述べた。

(第一財経ネットより)

作成日:2017年03月16日