最新法律動向

社内旅行で発生した事故は労災認定されるか

法的根拠

 

『労災保険行政事件を審理することに関する若干の問題についての最高裁の規定』第4条は、社員が職場が企画した活動に参加したか職場から指名・派遣された他組織の企画した活動に参加して傷害を受け、社会保険行政機関が労災と認定した場合、裁判所は支持しなければならないと規定しています。

上記の規定では、「社員が職場が企画したイベントに参加して事故傷害を受けた」場合、一般的に業務上の理由とし、労災と認定する必要があることを明確に定めています。

それでは、会社の企画した社員旅行で事故が起きた場合には労災と認定されるでしょうか。

弁護士による分析

労災即ち業務上の傷害とは、労働者が業務に従事しているか、業務に関係のある活動を行っている際に受けた不慮の傷害又は職業病の罹患を指します。

『労災保険条例』第14条には、7種類の労災に認定すべきケースが定められています。同条例第15条には、3種類の労災と見なすケースが定められています。うち、最も典型な労災のケースは、「勤務時間中、勤務場所で、勤務上の原因により事故傷害を受けた場合」となります。

会社が企画した社員旅行は、勿論会社の企画した活動に該当します。旅行期間中の受傷は労災に該当するかどうか、そのカギとなるのは会社の企画した社員旅行が「勤務と関係のある活動」かどうかと言う点です。会社の企画した社員旅行と勤務上の原因が関係あるかどうかについては、次の2方面から総合的に考慮する必要があると考えます。

1.会社が参加を促したり求めたかどうか

会社が強制参加を求める団体活動であれば、当該活動は業務の一部であると判断し、勤務上の原因であるため、これによって受けた傷害も労災と認定されるべきであると思われます。

2.会社が社員旅行の経費を負担しているかどうか、旅行期間中を正常な出勤と見なしているかどうか、正常に賃金を支給しているかどうか。

社員が参加した社員旅行が会社の企画したもので、経費も会社が負担している会社の文化活動であり、会社が社員の社員旅行への参加を正常な出勤と見なし、なお且つ賃金を支給する場合、会社が社員旅行を企画した目的は、社員をリラックスさせ、団体のコミュニケーション能力と協力関係を改善させ、それにより、社員の勤務効率の向上や会社の利益の実現など大きな効果が期待します。そのため、勤務の延長と理解することができます。

注意すべき

実務においては、労災認定を担当している政府機関と裁判所では、地域によって「会社の企画した社員旅行で発生した事故は労災に該当するか。」という点についての意見が分かれています。「会社の企画した社員旅行で発生した事故は労災に該当するか。」という点について最終的なコンセンサスが得られていないため、会社の企画した社員旅行で発生した事故について労災が認定されず、社員と会社にリスクと損失がもたらされることを避けるため、社員旅行を行う際には慎重を期して、社員のために市販の事故傷害保険を付保されることを、お勧めいたします。

 

作成日:2016年06月21日